かまぼの廃棄物と真珠貝の肉片で魚醤



 愛媛県の官民が連携し、かまぼこと真珠の製造時に出る廃棄物を利用し、液体調味料の「魚醤(しょう)」を開発した。かまぼこの原料となる魚の骨などと、真珠を採取した後のアコヤ貝の貝肉を使用し、発酵させて調味料をつくる。魚の骨とアコヤ貝の貝肉は含有成分が異なり、うまみが増すという。廃棄物を削減するとともに、新たな特産品にすることを目指す。

 開発には練り物製品を製造する中村かまぼこ店(愛媛県宇和島市)と同市の養殖業者、県の研究機関「愛媛県産業技術研究所」が協力した。中小企業基盤整備機構四国本部も支援した。

 魚醤の製造はかまぼこの原料となる魚のエソの骨や頭部などを、塩水としょうゆ用の麹(こうじ)に漬ける。これとは別に、真珠採取後のアコヤ貝の貝肉をミンチにし、同様に塩水としょうゆ用の麹に漬ける。それぞれ約4カ月間漬けて、発酵させる。発酵時の温度が違うため2つを分けて製造し、最後に混ぜ合わせて魚醤にする。配合割合は調整中で、8月中に決める。

 2種類を配合するのは成分に違いがあるためだ。エソの骨などを原料とする調味料はうまみ成分の「アミノ酸」が豊富。一方、アコヤ貝の貝肉には糖分の「グリコーゲン」が含まれ、調味料に適度の甘みが加わる。2つを混ぜることでうまみと甘みがある魚醤ができるという。

 中村かまぼこ店は8月末から仕込みを始める。魚骨など1キログラムから魚醤が2.5~3リットルでき、1キログラムの貝肉からは2~2.5リットルができる。同社は約100万円で製造装置を2台導入。年50~100リットルの生産を見込む。

 発売は来年4月を予定する。宇和島市にある同社の直営店や自社のサイトなどで販売する。製造設備を順次増強して生産量を増やし、スーパーや百貨店での販売も目指す。みそ汁や魚介系のパスタなどでの利用を見込んでいる。

 中村かまぼこ店では同魚醤で2015年8月期に売上高約350万円を見込む。販路拡大などで17年8月期には約2850万円にすることを目指す。事業が拡大すれば真珠の養殖業者は貝肉の供給で、年40万円の収入増につながるという。

 宇和島市では江戸時代からかまぼこなど練り物が作られてきた。真珠は同市を中心に愛媛県が生産量日本一で、全国の37%を占めている。練り物、真珠ともに特産地だけに加工後に出る骨や貝肉などの廃棄物処理が課題となっていた。中村かまぼこ店では廃棄物の処理に年63万円かけている。廃棄物を原料に商品化することで、コストの削減と新たな収益にすることを目指す。


愛媛県産業技術研究所
日本経済新聞社  地域ニュース > 四国
2013/7/31 12:00