アンガディア

「アンガディア」という言葉は、インドでは「信用できる人間」を意味する。
そしてそれは同時に、ダイヤモンドを秘密裏に運搬する人々の代名詞でもある。

インド西部、グジャラート州メウサナ地区の、ある小さなコミュニティの人間のみアンガディアとして雇われ、125年もの間、ムンバイとグジャラート間を、かつてはラクダで、今では列車で旅してきた。
彼らは武器も持たず、ダイヤモンドの包みをバッグや洋服の下に着た肌着に入れて運ぶ。
その沢山のポケットの付いた肌着の上に羽織る民族衣装の名前から、アンガディアと呼ばれるようになったのだと言われている。

現代では、シャツにズボンという目立たない格好で、毎日違う交通手段、路線や時間を変えて、彼らはダイヤモンドを運ぶ。 

かって三重県の志摩地方は真珠の本場として、世界中の人々を集めていた。
アメリカ人の商社マン、インド人のバイヤー、フランスのデザイナー、真珠を核に色も言葉も違ういろんな人種が集まり、志摩には輝きがあった。
また、この志摩から伊勢や神戸、香港・NY・パリへと真珠を運ぶ男たちがいた。
志摩の男たちはアンガディアと同じように、武器も持たず、懐に真珠を抱き、世界中に旅立った。

アンガディアの会社は60社あり、2千人以上が働いている。これまでダイヤモンドを盗むような背任行為は起きていない。
あるアンガディアは言う。「我々の知り合いしかアンガディアにはなれない。そうしないと我々の名誉や職業を守ることはできないからだ。」


アンガディアのシステムが最高に素晴らしいとも言えないが、我々が彼らから学ぶべきものは多い。
そのひとつが、かってはみんなが持っていたであろう、真珠に関わる私たちの誇りなのかもしれない。


BS1<発掘アジアドキュメンタリー>
ダイヤモンドの運び人 アンガディア (再放送決定)
11年10月20日 木曜深夜[金曜午前 0:00~0:50]