アーカイブ 12月 11th, 2012

琵琶パール 産学官連携の取り組み

火曜日, 12月 11th, 2012

 「ビワパール」。上品な輝きと、個性豊かな形を特徴とする琵琶湖産真珠の復活を目指し、滋賀県草津市と滋賀県立大、元養殖業者の“産・官・学”がスクラムを組み、再興に向けたプロジェクトを琵琶湖周辺で進めている。8日には「母貝」の中に真珠の“素”を埋め込む作業を行い、今後3年間をかけて成育状況を調べる。「もう一度輝きを」-。復活にかける思いが動き出した。

 大正末期から昭和初期にかけ、草津市の琵琶湖周辺で養殖業者らが初めて淡水養殖に成功、ビワパールは生まれた。おはじき形や十字架形など個性的な形状を持ち、深みのある光沢にピンクやブルー、紫などさまざまな色味をつけられる点が特徴で、最盛期の昭和46年には県全体で約6トンを生産するほどになり、うち草津で約2トンを生産。外国にも輸出され、若者を中心に人気を集めた。

 しかし50年代後半になると、琵琶湖の水質悪化などにより生産量が激減。中国の安い真珠の台頭もあって、産業としては60年ごろにほぼ壊滅した。現在はわずかに市内で1社が製造を続けるのみ。

 “壊滅”から20年以上たち、「淡水真珠養殖発祥の地」を標榜する草津市がビワパールの復活に乗り出した。滋賀県立大学環境科学部やかつての養殖業者も加わり、プロジェクトが始動した。

 今年8月には、琵琶湖に隣接する柳平湖(やなぎひらこ)で市と元業者らが実験を開始。養殖棚を設け、真珠を育てる母貝となるイケチョウガイを育て始めた。貝は順調に成育し、8日、貝の中に真珠の素となる別の貝の細胞片を埋め込む作業が始まった。当時使われていた作業小屋で、かつて養殖に携わった人たちが作業を披露。昔を懐かしんで訪れた元業者や住民ら40人が見守った。

 作業に携わった堀田美智子さん(60)は、「最盛期には貝の育ち具合を観察する船が湖にたくさん行き来して活気がありました。30年前を思い出し懐かしくなった」と話した。

 同時に、かつては業者の「勘」に頼っていた養殖方法にも最新の科学的な研究成果を取り入れる。県立大環境科学部の伴修平教授(プランクトン生態学)らのグループが貝の生態を詳しく分析。水質や養殖に適した密集度合などについて適正な数値をはじき出す。

 草津市は実験結果を公開し、希望者を募ることにしており、農林水産課は「現在の琵琶湖周辺でも真珠を育てられると証明することでビワパールの養殖を復活させたい」としている。
産経ニュースより(2012.12.8 19:10)

滋賀県「マザーレーク」への取り組み
滋賀県立大学環境科学部
柳平湖