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立命館守山高校で特別課外授業実施

土曜日, 3月 16th, 2013


日本が誇る真珠の養殖技術とアコヤ貝の不思議 立命館守山高校で特別課外授業実施

 3月8日(金)、立命館守山高等学校理科クラブの生徒らが、生きた真珠貝の解剖と真珠の取り出しに挑戦した。
 三重大学社会連携センター、志摩市内の養殖企業の協力を得て実現したこの日の特別課外授業「真珠の養殖技術と生命の不思議」には、理科クラブの生徒ら11人が参加。松井純氏(三重大学社会連携研究センター特任教授)による真珠の歴史、アコヤ貝の養殖方法と真珠の作成方法などについての講義によって、真珠養殖の難しさや、真珠の養殖技術のメカニズムについて学んだ後、実際に真珠の養殖に使用される生きたアコヤ貝の解剖を行った。

松井純 三重大学社会連携研究センター特任教授

松井純 三重大学社会連携研究センター特任教授


 はじめに、真珠養殖技術の研究も行う藤村卓也氏(若狭大月真珠養殖株式会社)が、真珠形成において重要な役割を果たす外套膜や、心臓、口などの部位を示しながらアコヤ貝の生態について説明。生徒たちは、はじめは恐る恐る貝の解剖を行っていたが、真珠の取り出しに成功するとあちこちから歓声があがった。取り出した真珠には色や形などさまざまな状態のものがあり、なかには、真珠が出てこない貝もあるなど、養殖の難しさや生命の不思議を実際に体験する時間となった。
若狭大月真珠株式会社  藤村卓也氏

若狭大月真珠株式会社 
藤村卓也氏


立命館守山高等学校理科クラブの生徒

立命館守山高等学校理科クラブの生徒




立命館大学
http://www.ritsumei.jp/pickup/detail_j/topics/11614/date/3/year/2013




アコヤガイ真珠養殖技術を科学的に証明

火曜日, 3月 12th, 2013

「外套膜組織片を移植し、真珠核の周りに真珠袋を形成させ、これに真珠を作らせる」という手法は、100年以上前に日本で開発された真珠の養殖技術であるが、実際に供与貝の外套膜組織片由来の細胞が、移植先の母貝の体内に存在し続け、どのように真珠形成に関与しているかは不明のままであった。

アコヤガイの貝殻と真珠および貝殻を形成する外套膜

アコヤガイの貝殻と真珠および貝殻を形成する外套膜

(アコヤガイの貝殻と真珠および貝殻を形成する外套膜)拡大図

真珠養殖の方法

真珠養殖の方法

(あこや真珠養殖作業の流れ)拡大図

水産総合研究センター(水研センター)と麻布大学、三重県水産研究所の研究チームは、これまでの研究において、アコヤガイのDNAを調べ、真珠層形成に関与するN16遺伝子およびN19 遺伝子が、アコヤガイの個体間で塩基配列が異なることを明らかにしていた。

今回の調査では、供与貝の外套膜、真珠袋、母貝の外套膜で働いているこれら2つの遺伝子の塩基配列を決定し、PCR-RFLP法で塩基配列の違いを解析して比較を行った。
今回の研究の概要

今回の研究の概要

(今回の研究の概要)拡大図

この結果、供与貝と挿核12カ月後にサンプリングした母貝との比較、供与貝と挿核18カ月後にサンプリングした母貝との比較のいずれにおいても、塩基配列にもとづいて分けられた遺伝子型や、PCR-RFLP法で得られた各遺伝子型のバンドは、真珠袋と供与貝の外套膜が同じで、母貝の外套膜が異なっていることが示され、このことから移植してから18カ月目までの真珠袋では、供与貝と同じ塩基配列であるN16遺伝子とN19遺伝子が働いていることが確認されたという。
供与貝外套膜と真珠袋および母貝外套膜におけるN16とN19遺伝子の遺伝子型

供与貝外套膜と真珠袋および母貝外套膜におけるN16とN19遺伝子の遺伝子型

N16とN19遺伝子の遺伝子型(拡大図)

研究チームでは、この結果について、真珠袋で供与貝の外套膜組織片由来の細胞が存在し続け、真珠形成に関与していることを示すものとするほか、真珠形成に関与する遺伝子の塩基配列の違いは、真珠を形成する能力にも影響を及ぼす可能性があると説明している。

また、真珠層を形成するのは供与貝由来の真珠袋であることから、母貝は栄養や酸素、真珠層の材料となる物質などを真珠袋の細胞に与え、真珠袋の細胞から出た不要な老廃物などは捨て去るというような、真珠袋の細胞が生き続けて真珠層を形成できる環境を提供する、という役割を担うと考えられるとしている。
PCR-RFLP法で得られた供与貝特有のバンドと母貝特有のバンド

PCR-RFLP法で得られた供与貝特有のバンドと母貝特有のバンド

RFLP法で得られた供与貝特有のバンドと母貝特有のバンド(拡大図)

なお研究チームでは、今回の結果から真珠形成に関与する遺伝子を利用して、高品質真珠を効率よく生産するアコヤガイの開発につながると期待を示すほか、今後、真珠養殖におけるアコヤガイの供与貝と母貝それぞれの役割を明らかにすることで、アコヤガイの飼育管理の改善にもつながることが考えらえるとコメントしている。

今回の研究は、水研センター 増養殖研究所の正岡哲治氏、麻布大学環境保健学部の佐俣哲朗氏、同 野川ちひろし、同 馬場博子氏、麻布大学環境保健学部の小瀧朋弘氏、同 中川葵氏、同 佐藤瑞紀氏、三重県水産研究所の青木秀夫氏、水研センター中央水産研究所の藤原篤志氏、水産総合研究センター研究推進部の小林敬典氏らによるもの。

詳細は2013年3月25日付の「Aquaculture」に掲載される予定。


マイナビニュース 2013年3月11日 16時10分


独立行政法人 水産総合研究センター
独立行政法人 水産総合研究センター 中央水産研究所
  http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr24/250311/index.html
麻布大学環境保健学部
三重県水産研究所






三重大学大学院と共同研究の[真珠貝成分]化粧石鹸

金曜日, 1月 18th, 2013

【産学医の連携】三重大学大学院と共同研究の[真珠貝成分]を配合,皮膚科専門医の協力を得て開発した化粧石鹸「ネイカーホワイト」の販売開始

化粧品の開発・販売等を行う株式会社ネイカーホワイト(所在地:大阪市北区,代表取締役:梶原綾子)は,三重大学大学院生物資源学研究科微生物工学研究室(担当:粟冠和郎教授)と共同研究の「真珠貝成分(焼成アコヤ貝)」を配合し,複数の皮膚科専門医の意見・要望を反映して開発した化粧石鹸「ネイカーホワイト スキンクレンジングソープ」の販売を2013年1月開始しました。
(「ネイカー(NACRE)」は,「真珠貝」を意味します。)

■同微生物工学研究室との共同研究
 真珠貝はバイオマス資源としての活用が期待されるところ,真珠貝(アコヤ貝)を高熱処理した粉末の殺菌効果に着目し,同微生物工学研究室と共同で成分効果試験を実施しました。
 また,「真珠貝成分(焼成アコヤ貝)」を様々な製品に有効活用をする前提として,人体に対する安全性検証のため,同微生物工学研究室と共同で実験を行いました。

■皮膚科専門医の協力を得た商品開発
 「真珠貝成分(焼成アコヤ貝)」を配合した石けんを商品化するにあたっては,複数の皮膚科専門医の協力を得て,臨床の現場で患者の方々に試用いただき,それにより集積された意見や要望に基づいて改良等を行いました。また,健康な皮膚の方々を対象とするテスト等も実施しました。
 本製品は,皮膚科専門医の意見・要望に基づいて,≪アレルギー反応の回避≫,≪肌に対する低刺激性≫,≪香料や着色料等の無添加≫を重視しています。

【取材,製品詳細,販売等に関するお問い合わせ】
商号:株式会社ネイカーホワイト
所在地:大阪市北区梅田2-5-4千代田ビル西館9階
事業内容:医薬品、医薬部外品、化粧品等の研究、開発、製造、輸出入及び販売
TEL:06-6343-0057
FAX:06-6343-0058
E-mail:info@nacre-white.com
URL:http://www.nacre-white.com
広報担当:朝山めぐみ

成分
カリ含有石けん素地/グリセリン/加水分解コラーゲン/ヒアルロン酸Na/水/ローヤルゼリーエキス/カキカラ/ベントナイト/グルコン酸Na/エチドロン酸/エタノール/EDTA-4Na/コカミドプロピルベタイン

カリ含有石けん素地の含有成分
ラウリン酸Na/ラウリン酸K/ミリスチン酸Na/ミリスチン酸K/パルミチン酸Na/パルミチン酸K/ステアリン酸Na/オレイン酸Na/リノール酸Na



牡蠣の貝殻に真珠
個人的な意見・・・・
HPに掲載されている写真は牡蠣の貝殻です。
(成分欄にも「カキカラ」と掲載されています)
プレスでは「真珠貝成分(焼成アコヤ貝)」の研究成果を述べてはいるのですが本商品にアコヤ貝は使用していないのか?
また、掲載写真の真珠はギミックだと思う。本物の輝きの良いきれいな真珠を使ってほしかったです(ボソッ)
最後にnacreは、正確には真珠層です。(真珠層のある貝=真珠貝でも間違いではないです)

【2013年1月23日

株式会社ネイカーホワイトさんからご連絡を頂戴しました。
本製品に使用しているのは「焼成あこや貝」で正しかったです。
INCIコード(化粧品原料国際命名法)の指示に従ってしまうと「カキカラ」表示になります。
また一つ学びを得ました。ありがとうございます。
ちなみに、本文を掲載した後、直ぐに石鹸を注文させて頂き、既に使用をしております。
率直な感想として「お勧め!」です。

頂戴したメール文章
 弊社の製品について記事を書いて頂いてありがとうございます。
 「プレスでは「真珠貝成分(焼成アコヤ貝)」の研究成果を述べてはいるのですが本商品にアコヤ貝は使用していないのか?」との点ですが,もちろんアコヤ貝を使用しています。牡蠣の貝ではありません。
 成分欄にカキカラと記載されているのは,アコヤ貝の粉末がINCIコードという化粧品の成分の特定において「カキカラ(oyster shell powder)」という名称で登録されているので,それに従っているからです。

 ウェブサイトの写真ですが,現在ウェブサイトがまだ準備段階で,いずれ良い写真に更新したいと思っています。
 きれいな真珠の写真に是非したいと思っています(^^)

 今後ともよろしくお願い致します。
http://www.nacre-white.com








長崎県対馬の真珠養殖青年部に天皇杯

水曜日, 11月 21st, 2012

 病気に強い真珠の養殖貝を開発し、生産性の向上に貢献したとして、対馬市の対馬真珠養殖漁協青年部(15人)が、第51回農林水産祭の経営(漁業経営改善)部門で最高賞の天皇杯を受賞した。長崎県内から天皇杯の受賞者が出たのは27年ぶり。表彰式は23日に東京で行われる。

 1994年以降、西日本を中心に養殖用のアコヤガイが死ぬ赤変病が流行したことから、青年部は県総合水産試験場や県対馬水産業普及指導センターと連携して対策を研究。赤変病は伝染性疾病と突き止め、被害の拡大防止のほか、良質の真珠の生産率を高める技術の開発にも成功した。

 開発した技術は全国に普及し、3月に東京で開かれた第17回全国青年・女性漁業者交流大会で報告したところ、業界全体の生産性向上に寄与したとして、最高賞の農林水産大臣賞を受賞。農林水産祭では、41件の候補の中から天皇杯に選ばれた。

 青年部の日高政明部長(43)は「対馬産の真珠が全国でもトップクラスになるよう、今後も研究に取り組みたい」と意気込みを語り、同組合の平井善正組合長は「対馬の真珠の知名度を高めてくれた。新しいテーマに向かって、さらに頑張ってほしい」とエールを送った。

 長崎県内では、1985年度に同市の厳原町漁協青年部が技術部門の「ひじき養殖」で天皇杯を受賞した。
(2012年11月21日 読売新聞:長崎県版)



【生体材料】実験室で真珠層を作る

木曜日, 7月 26th, 2012

Biomaterials: Mother of pearl in the lab

Nature Communications, July 25, 2012

A strategy for making artificial nacre, more commonly known as mother of pearl, is reported for the first time in Nature Communications this week. This nature-inspired process may pave the way for tough and iridescent surface coatings which can be made from cheap starting materials and uses sustainable methods.

Nacre is a biomaterial with a multi-layered organic-inorganic structure which displays greater mechanical strength and optical iridescence than either of its components. Ulrich Steiner and his colleagues use a layer by layer approach to manufacture artificial nacre from calcium carbonate – mimicking the natural growth conditions. The resulting material is iridescent and displays greater mechanical toughness than natural nacre

The development of artificial nacre should lead to a deeper understanding of how this material forms in molluscs and how we can enhance its properties in the lab.

Nature Communications, 2012年07月25日
真珠層を人工的に作製する方法を初めて報告した論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。このプロセスは、自然からヒントを得て考案されたもので、低コストの出発原料と持続可能な方法によって、虹色を発する強靭な皮膜を形成するコーティング剤を製造する道が開かれるかもしれない。

真珠層は、有機質と無機質の多層構造の生体材料で、その機械的強度と虹色発色性は、その個々の成分よりも優れている。今回、U Steinerたちは、自然の成長条件を模倣して、一層ずつ積み上げていく方法を用いて、炭酸カルシウムから人工真珠層を作製した。その結果得られた材料は虹色を発し、天然の真珠層よりも機械的靱性が優れていた。

今回、人工真珠層が開発されたことで、軟体動物における真珠層の形成過程、そして、実験室で人工真珠層の特性を向上させる方法に関する研究が促進されると考えられる。



Nature Communications 一部抜粋(全文は有料)
http://www.nature.com/ncomms/journal/v3/n7/full/ncomms1970.html
Nacre is a technologically remarkable organic–inorganic composite biomaterial. It consists of an ordered multilayer structure of crystalline calcium carbonate platelets separated by porous organic layers. This microstructure exhibits both optical iridescence and mechanical toughness, which transcend those of its constituent components. Replication of nacre is essential for understanding this complex biomineral, and paves the way for tough coatings fabricated from cheap abundant materials. Fabricating a calcitic nacre imitation with biologically similar optical and mechanical properties will likely require following all steps taken in biogenic nacre synthesis. Here we present a route to artificial nacre that mimics the natural layer-by-layer approach to fabricate a hierarchical crystalline multilayer material. Its structure–function relationship was confirmed by nacre-like mechanical properties and striking optical iridescence. Our biomimetic route uses the interplay of polymer-mediated mineral growth, combined with layer-by-layer deposition of porous organic films. This is the first successful attempt to replicate nacre, using CaCO3.








Biomimetic Layer-by-Layer Assembly of Artificial Nacre –Supplementary Information
(人工真珠層のバイオミメティック層ごとのアセンブリ -補足情報)
http://www.nature.com/ncomms/journal/v3/n7/extref/ncomms1970-s1.pdf




あこや貝の閉殻(へいかく)力測定

金曜日, 9月 30th, 2011

志摩市の県水産研究所は、真珠養殖で使うアコヤガイの自ら貝殻を閉める力(閉殻(へいかく)力)を、荷重計で測ることで優良な貝を選別する方法を開発し、特許を取得したと発表した。閉殻力が強いほど、死ぬ率が低く、良質の真珠を作る傾向にあることに着目し、同研究所は「近い将来、真珠養殖の現場で普及させ、生産性の向上を図りたい」と話している。(中村和男)

 養殖真珠の品質を高めるには、優良なアコヤガイを用いることが重要だが、貝の健康状態は外観だけで判別することが難しい。そのため、同研究所は三重大大学院生物資源学研究科県産業支援センターと共同で、閉殻力を測定することで効率的に養殖できる方法を探った。

 アコヤガイは夏場の高水温の時期に死ぬことが多いため、実験は夏季に1か月間実施した。閉じた貝殻を1センチこじ開ける力を約30秒間測定した結果、貝が死ぬ率は、1重量キロの閉殻力では80%だが、3重量キロでは21%、5重量キロでは4%と下がった。閉殻力の強弱は遺伝することが明らかになっており、閉殻力が弱い貝を育てるのをやめることで効率化が図れるほか、親貝の選抜手法としても有効としている。

 また、5、6月に真珠の核入れ手術を行う際は、同様に測定し、2~4重量キロの場合が、シミや傷の少ない高品質の真珠ができることも分かった。閉殻力が強過ぎると貝が破損するため、従来から核入れ前に貝の機能を低下させ、閉殻力を弱くするようにしてきたが、具体的な数値を使えるようになった。
(2011年9月29日 読売新聞)









ミキモト博多真珠養殖場の真珠展示

月曜日, 7月 11th, 2011

3月3日のブログに掲載した九州玄界灘の相ノ島(福岡県新宮町)にある、ミキモト博多真珠養殖場にて水揚された真珠が、鳥羽市のミキモト真珠島の真珠博物館で展示されています。



毎日新聞 三重版 7月9日(土)
 鳥羽市のミキモト真珠島の真珠博物館で、玄界灘で発見された天然アコヤガイを使って生産した直径11ミリの大粒で高品質の真珠の展示が始まった。従来は不向きと考えられていた外洋性の漁場で養殖しており、真珠養殖の新たな可能性として注目されている。
 同島によると、00年に玄界灘の相島(あいのしま)で福岡県水産海洋センターが天然アコヤガイを発見、01年にミキモト真珠研究所と九州大が共同で養殖試験を行い、真珠養殖に適した大型の母貝に育つことなどが分かった。さらに外海は感染症や赤潮の恐れがなく、養殖期間の長い高品質の大粒真珠が生産できることが判明し、相島に07年、真珠養殖場が開設された。
 通常行われている内海の養殖真珠は最大級で10ミリだが、展示の真珠は11ミリもあり、真珠層も内海の0・5ミリをはるかに上回る2・5ミリを形成している。現在はまだ研究段階で、養殖の実用化には開発すべき技術も数多いという。【林一茂】
〔三重版〕

3月3日のブログ記事 http://www.pearl.ne.jp/blog/?p=328
ミキモト真珠島 http://www.mikimoto-pearl-museum.co.jp/

世界初、真珠形成の遺伝子特定

月曜日, 6月 27th, 2011

【東京】
東京大とミキモトの共同研究チームは、日本産アコヤガイが真珠層を形成する際に働くほぼすべての遺伝子の特定に成功したと発表した。世界で初めてという。日本固有のアコヤガイは美しい光沢が特徴で、世界で最も優れた品質を持つことで知られている。しかし近年は感染症の流行や漁場環境の変化などで生産は減少傾向となっていた。ミキモトなどは今回の成果が、日本産アコヤガイ特有の美しさを解明する手掛かりになるとともに、優良な真珠母貝の品質保持や、耐病性の向上などにつながると期待している。

 米科学雑誌「プロスワン」に二十三日(日本時間)、研究成果の論文が掲載された。

 アコヤガイの真珠は、炭酸カルシウムのアラゴナイト結晶と呼ばれる結晶が規則正しく幾層にも重なって作り出されるが、これまで真珠層形成時に働く遺伝子はほとんど解明されていなかった。
 今回、東京大大学院農学生命科学研究科の渡部終五教授らの研究チームとミキモトグループが共同研究チームを組み、ミキモトが守り続けてきた日本固有のアコヤガイを対象に、〇七年から真珠形成の遺伝子を追求してきた。

 遺伝子解析は、遺伝情報がまったくない生物でも網羅的な解析が可能な「次世代シーケンサ」と呼ばれるシステムを用いて実施。その結果、これまで判明していた三百個のアコヤガイ遺伝子の約百倍の三万個の遺伝子を特定し、真珠形成で働くほぼすべての遺伝子情報を取得することができたという。このうち、真珠層形成に関連した五十二個の遺伝子を新たに発見した。
 会見した渡部教授は、五十二個の新たな真珠形成関連遺伝子の発見などを「画期的な成果だ」と話し、「アコヤガイの病気の問題などもクリアし、世界をリードする技術になる」と強調。ほかに化粧品への利用や、将来的には骨形成に関連する病気の治療、新機能材料の開発などへの応用も期待されるという。
 ミキモト真珠研究所の永井清仁所長は「日本産アコヤガイの光沢の美しさは別格」と話し、「今回の成果を、美しく病気にも強い品種づくりに生かしていきたい」とした。


「次世代シーケンサ」(次世代シークエンサー)とは、Sanger シーケンシング法を利用した蛍光キャピラリーシーケンサーである「第1世代シーケンサー」と対比させて使われている用語です。初期の頃は塩基配列決定の為の試薬や測定器が非常に高額で大学でも予算をつけるために大変苦労をしました。現在のシーケンサーは、光検出を行わないので、試薬代が安価になり、かつ光検出器が必要なくなりました。ここ5年ほどで価格は1/10以下になり、驚くほど高速で結果が出るようになりましたね。

東京大学大学院農学生命科学研究科 水圏生物科学専攻
 http://www.fs.a.u-tokyo.ac.jp/
水圏生物科学専攻 水産化学研究室 研究業績
 http://mbl.fs.a.u-tokyo.ac.jp/jp/paper.html

今回の、東京大学農学生命科学研究科のプレスリリース
 http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2011/20110624-1.html
 http://megalodon.jp/2011-0627-1839-26/www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2011/20110624-1.html

東京大学大学院農学生命科学研究科での発表
アコヤガイの遺伝子情報について説明する渡部教授:東京大学大学院農学部