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伊勢志摩の宝石 真珠~海が生み出した神秘の輝き #217 2014.6.1

火曜日, 6月 3rd, 2014

テレビ朝日 奇跡の地球物語  毎週日曜日 18:30より放映
6月1日は伊勢志摩の真珠(ミキモト)を特集してくださいました。
画像は残念ながら残っていませんが、素晴らしい出来だったので文章で味わってください。

伊勢志摩の宝石 真珠~海が生み出した神秘の輝き~
伊勢志摩国立公園。
温暖な気候と、リアス海岸の作り出す入り江が世界に誇る、宝石を生んだ。

美しい光沢で、世界でも評価が高い真珠。
三重県・英虞湾は、世界で初めて養殖に成功した真珠ゆかりの海。
ほのかなピンク色と上品な輝き・・・
それは、どのように生まれるのか?

伊勢志摩の真珠養殖。
美しい輝きを生み出す10ヵ月を追った。

-三重県・英虞湾-
海が生み出す宝石「真珠」の養殖場に異変が起きていた。
真珠の養殖を研究している、永井清仁さんが(養殖場)現場へ向かう。
港から100m沖合。ブイの下に、アコヤガイが吊り下げられている。海の色に目を凝らす・・・
永井「かなり来てるな・・・これ。赤潮が発生していますね。」
赤潮とは、プランクトンが異常に増える現象で、最悪の場合、アコヤガイは全滅してしまう。
永井さんの表情が険しくなった。アコヤガイは、そして真珠は大丈夫なのだろうか?
真珠養殖の研究者・永井さんが感じた海の異変はほんの僅かなもの。
永井「本当ですと、いつも綺麗なグリーンの色をしているんですけど、ちょっと暗い感じがしますね。」
言われてみれば、海が僅かに濁っているようにも見える。一体何が起きているのだろう?
永井「良いプランクトンと悪いプランクトンがいて、良いプランクトンは貝の栄養になりますけど、悪いプランクトンは貝の負担になってくるんですね。」
海水を採取し、分析するために研究所に戻る。永井さんには苦い思い出がある。

20年前・・・英虞湾の真珠に最大の危機が訪れた。
永井「貝を攻撃するプランクトンが出てきたんですね。最終的に(アコヤガイの)心臓が止まってしまう」
原因はヘテロカプサというプランクトン。これまでに全国で100億円に及ぶ被害が出た。
永井「貝がバタバタ死んでいく時っていうのは、本当に苦しい思いです。もう本当に・・・英虞湾では養殖できないかと思った。」
赤潮には、海を赤褐色に汚すイメージがある。海の色が少し茶色っぽくなる程度の赤潮でも、発生しているプランクトンによって、甚大な被害をもたらすことがあるのだ。
今回の赤潮にヘテロカプサのような有害なプランクトンが含まれていないかどうか・・・慎重に分析を進める。
検査の結果はいかに?
幸い、今回の赤潮はアコヤガイに影響のないものだった。
永井「私たちができることは、異常な環境から貝を守ってあげること。それには私たちは海の環境をよく知らなきゃいけないんです。」
美しい真珠を生み出すには、微妙な海の変化を24時間監視しなければならないのだ。
永井「朝起きて寝るまでずっと。寝てても(夢に)出てきますから。貝が死んでえらいことになって悪夢になっちゃう。」
20年前、英虞湾を襲った赤潮の被害。しかしそれは、損害と同時にアコヤガイを守る貴重な発明をもたらした。
ヒントになったのは、猛毒の赤潮ヘテロカプサに対するアコヤ貝の反応だ。
アコヤガイを入れたビーカーに、ヘテロカプサを入れる。数分後、アコヤガイが開閉運動を始めた。
永井「実は、貝っていうと通常は開いている。ところが外敵が来ると閉じて守っていくわけですね。この開閉運動を捉えることによって、外敵が来ているかどうか?・・・というのを察知するわけです。」
アコヤ貝の開閉運動をどうやってモニターするか?
永井さんたちは、貝の片方に磁石、もう一方にセンサーを取り付けた。
養殖場のすぐ脇に、ソーラーパネルを設置した筏がある。パネルから延びたケーブルをたどると、アコヤ貝につながっている。有害な赤潮の発生を知らせる、特別な貝だ。
永井「これがセンサーですね、その反対側に磁石が付いていますね」
貝が危機を察知して、開閉運動を始めると・・・監視室にメールの着信音が鳴り画面には危機が起こった場所と、『タスケテー』の文字が出る。
永井「やっぱり貝が苦しんでいるそのメッセージを感じたいということで『タスケテー』と(表示されるように)しています。」
名付けて『貝リンガル』。海の異常をいち早く知らせ、アコヤ貝の被害を未然に防ぐ優れものだ。

日本の夕景100選にも選ばれている英虞湾の夕日。
9月初旬、研究所が突然慌しくなった。貝リンガルが、赤潮の発生を知らせてきたのだ。
送られたデータをチェックする。
研究員「すぐに対応する必要があるね。」
グラフは、有害な赤潮の発生を示していた。一刻も早い対応が必要な、緊急事態だ。
現場へと向かう、永井さんの表情も険しい。
もし、20年前と同様の赤潮なら、最悪の場合、アコヤガイが全滅することもあり得るからだ。
問題のポイントに到着した。
永井「どんどん吊り上げてって。」
急いで網を上げる。
永井「深さは?」
作業員「浅く!」
貝を吊っているロープをたぐり、縛る。浅いところに貝を引き上げているのだ。
永井「水深の深い層に今赤潮が発生していまして、浅い層にはまだ赤潮がきていない。赤潮プランクトンがいない層に貝を移動させます。」
赤潮は、様々な深さで発生する。そこで、水深8~1mまで、様々な深さに貝リンガルのセンサーが設置されている。今回反応したのは水深5m。そこで、安全な水深1mまで引き上げたのだ。
素早い対応は、貝の命を守るだけではない。真珠の美しさを左右する、重要な作業だ。
永井「例えば赤潮とか異常な環境があると、そこに(真珠に)乱れた層ができるんですね。それは真珠に残っていくんですね。アコヤガイの生命の履歴が残っているんです。」

真珠の養殖は、貝の殻でできた核を入れる作業から始まる。
アコヤガイは体内に異物が入ったことを感じると、体を守ろうとして貝殻と同じ物質で核を包む。

そして、海の中でじっくり2年間かけ出来上がったのが真珠層だ。
毎日わずか0.3μ、つまり3/10,000mmという、非常に薄い真珠層が積み重なって真珠となる。
赤潮などのストレスがかかると、この層に乱れが生じ、輝きを失って売り物にはならない。
真珠層が少しずつ均等に重なって生み出す、柔らかな輝きが真珠の価値を決める。ダイヤモンドなど、加工して輝きを生み出す宝石とは、根本的に違うのだ。だからこそ真珠作りは毎日が戦いとなる。
永井「海外旅行の予約をすると赤潮が出るんです。2日前の直前に出てキャンセル。ほとんど全額取られた。」
結婚してから20年、ずっと単身赴任でアコヤガイを見守ってきた永井さん。海の状況はいつ変化するか分からないからだ。

秋の紅葉が伊勢志摩を覆う11月中旬。
木々も色づくこの季節、真珠の収穫「浜揚げ」が近づく。秋に行われる大事な作業が、海水の温度のチェック。
この時期の水温の変化が、真珠の輝きを大きく左右する。つまり、一粒一粒の値段を決めるからだ。
永井「水温とアコヤガイっていうのは密接に関わっていて、水温によって低下して行くと輝きを増すんですね。」
水温が高い夏、アコヤガイは活発に活動し、厚い真珠層を作る。ただし、厚い真珠層はあまり美しいとは言えない。
秋から冬へ向かい、水温が18~14℃の範囲まで下がると、アコヤガイは活動を弱め、薄く透明感のある美しい真珠層を作る。これを『化粧巻き』という。
永井「ゆっくりと安定して(水温が)下がって行くのがいいんですね。ここで急激に水温が上がると乱れた層ができてよくない。」
徐々に海水の温度が下がってゆくことで、高い品質の真珠が生まれる。
逆に水温が13℃を下回るとアコヤガイは冬眠し、真珠の輝きは濁ってしまう。
そのため13℃になる前に収穫をしなければならない。だからこの時期の温度管理が品質の鍵を握っているのだ。
渡部教授「海の水温が徐々に下がる気候が大事なんですね。それがまさに日本の四季なんです。日本の四季があったからこそ、真珠の養殖が盛んになって世界でも冠たる品質のもっとも高い真珠ができたということだと思います。」
世界に誇る、真珠の輝き・・・それは、おだやかな四季の移ろいのある日本だからこそ生み出せる美しさだった。

-12月・浜揚げの日-
地元の海女さんたちも、作業を手伝う。
この冬浜揚げするアコヤガイは20万個。今年の出来はどうなのか?
永井「やっぱり期待と不安で・・・やっぱり開けてみるまでが・・・上げないとわかりませんけどね。」
アコヤガイに核を入れてから2年。丹精込めて育てあげた真珠を、海から引き上げる。
今年の真珠の予想を聞いてみた。
(スタッフ:今年の貝の出来はどうですか?)
作業員「開けて見ないとね・・・。まだ始まったばっかりだし。」
貝がどんなによく育っていても、真珠の出来は開けてみないと分からない。
今年の真珠はどうなのか?永井さんが一番緊張する瞬間だ。
ようやく迎えた真珠の浜揚げ。商品になるのはわずか5%と言われる養殖真珠の世界。
果たして今シーズンの出来はどうなのだろうか?最初の一粒を確認してみる。
永井「輝きもすごくいい。色もピンクがかって、キレイな珠ですよ。完璧に近い!」
貝から取り出したばかりの真珠は、美しいピンク色に緑がかった複雑な光沢をたたえていた。最高の出来映えだ。
永井「私も最初は、真珠というものを『モノ』としてみていました。だけど実際には、その背景には自然環境と生き物との調和ということを本当に勉強させられました。まだまだわからないことがたくさんありますけど、少しわかってきたということがとても嬉しい。この仕事をやってよかったなと思います。」

日本が世界に誇る、伊勢志摩の真珠。
アコヤガイの神秘の力と、人々のたゆまぬ研究の成果が奇跡の輝きを生む。

<出演者>
真珠研究所/所長・農学博士 永井清仁氏
北里大学海洋生命科学部/教授 渡部終五氏

巻き方と海水温は無関係

金曜日, 12月 13th, 2013

貝に似た「有孔虫」-DNA解析などで判明・信州大

ごく小さな巻き貝のような形の動物プランクトン「有孔虫(ゆうこうちゅう)」の殻は温かい海域では右巻き、冷たい海域では左巻きになると考えられてきたが、巻き方と水温は関係がない可能性が高いことが分かった。信州大の氏家由利香研究員と浅見崇比呂教授が12日までに英ロンドン動物学会誌電子版で発表した。
 石灰質の殻を持つ有孔虫は約5億年前に出現し、化石は地層の年代や過去の海水温を推定する手掛かりとされている。浅見教授は「右巻きか左巻きかだけで過去の海水温を推定する方法は見直しが必要だ」と話している。
 今回調べたのは、世界の海に広く生息する有孔虫の一種「グロボロタリア・トルンカツリノイデス」(直径約1ミリ)。西太平洋や南北大西洋、インド洋で採集されたこの種のDNAを解析した結果、殻の形が似ているだけで、実際には5種に分類されることが判明。うち3種は、同じ種なのに右巻きと左巻きの両方のタイプが存在した。
 さらに採集された海域の水温を調べると、巻き方との間に対応関係はなかった。
 海中にプランクトンとして浮遊する有孔虫は殻の形から約50種に分類されるが、DNAを解析すれば100種以上に分かれる見込み。
 浅見教授は「有孔虫は人工飼育が難しく、研究が進まなかった。世界で初めて人工繁殖を成功させ、交雑実験を行って右巻き、左巻きの遺伝子の仕組みを解明したい」と話している。(2013/12/12-15:25)

グロボロタリア・トルンカツリノイデス有孔虫(ゆうこうちゅう)の1種「グロボロタリア・トルンカツリノイデス」(直径約1ミリ、向きを変え顕微鏡で撮影)。殻の形で1種とされていたが、DNA解析で5種に分かれ、右巻き・左巻きと海水温は無関係と判明した
(浅見崇比呂信州大教授提供)



「真珠母雲」

水曜日, 9月 11th, 2013

Antarctic Nacreous

kumo1

あなたは、「真珠母雲(しんじゅぼぐも)」という雲のことをご存知でしょうか。

真珠母雲とは、高度20~30km付近の成層圏にできる特殊な雲のことで、おもに冬場、北極や南極などの高緯度地方で確認することができます。

虹色にゆらめくその独特な色彩が真珠の母貝である「アコヤガイ」に似ていることから、この名前がつけられたという同雲。ちなみに学術名は、「極成層圏雲」「極成層雲」というのだそうです。

本日みなさまにご覧いただくのは、海外サイト『io9』に掲載されていた、まばゆいほどに美しい真珠母雲の姿。

南極大陸にある観測基地マクマード基地、NASAの航空機レーダー保護ドーム『Radome』にて、カメラマンDeven Stross氏によって撮影されたという写真の数々。そこに写る真珠母雲、その質感は、まるでゴッホの絵のよう。現実とは思えないほど幻想的な光景は、きっとあなたの心を強くとらえて離さないことでしょう。

しかし一方で真珠母雲は、オゾン層を破壊する諸悪の根源でもあります。太陽高度が上がると共に上昇した気温によって起こる融解、この際太陽光によって化学反応が起き、硝酸および塩素原子が発生。この塩素原子が、オゾン層を破壊しているのだそう。

美しくも、同時に危険な要素を孕んだ、真珠母雲。自然が生み出した奇跡の光景を、それではしばしの間、お楽しみくださいませ。

(文=田端あんじ)

参考元:io9 、Deven Stross

Antarctic Nacreous 3








ミキモト:三重県に水質情報提供 環境変化に敏感な貝利用

火曜日, 6月 11th, 2013

真珠養殖・貴金属販売のミキモト(東京都中央区)は12日から、二枚貝の動きの解析で得た三重県・英虞(あご)湾での赤潮発生などの情報を同県水産研究所のホームページ(HP)に週1回提供する。「貝(かい)リンガル」と名付けた装置を駆使し、環境変化に敏感な貝の声なき声を拾う。これまで独自に収集してきた水質変化の情報を他の養殖業者に公開し、三重の真珠養殖の発展に寄与する考えだ。

 ミキモトによると、養殖真珠の母貝として知られるアコヤガイを使う。貝殻を開いて呼吸や栄養摂取をするが、赤潮を引き起こすプランクトンが増加すると開閉の回数が増える。貝殻にセンサー類を取り付けて動きを測定、このデータからプランクトン量を推定し、赤潮などの発生リスクを予測する仕組みだ。九州大(福岡市)などと共同開発し、同社は2004年から運用している。

001mikimoto

センサーが取り付けられたアコヤガイ


 24時間収集したデータをコンピューターに送り、異常発生時は養殖場にあるミキモトの研究所研究員に、貝からのメッセージとして「タスケテー」などという携帯メールが届く仕組みもある。

 英虞湾では毎年のように赤潮が発生しているが、海水を採取してのプランクトン特定には時間がかかっていた。アコヤガイの生体反応を利用したミキモトの赤潮情報提供で、他の真珠養殖業者も早期に異常を察知して貝を安全な場所へ移動させ、被害を未然に防ぐことが期待される。

 同社の担当者は情報提供を決めた理由について「日本を代表する特産物の真珠を世界に広げるため」と話している。

 同県鳥羽市出身で、真珠王と呼ばれた御木本(みきもと)幸吉(1858〜1954年)は真珠の養殖技術を確立した一人で、ミキモトの創業者。同県の養殖真珠は戦前、全国生産量の約9割を占めていた。だが90年代前半、赤潮でアコヤガイが大量死して以来、全国3位に甘んじている。【谷口拓未】

毎日新聞 2013年06月11日 14時23分(最終更新 06月11日 14時24分)

三重県水産研究所 http://www.mpstpc.pref.mie.lg.jp/sui/



立命館守山高校で特別課外授業実施

土曜日, 3月 16th, 2013


日本が誇る真珠の養殖技術とアコヤ貝の不思議 立命館守山高校で特別課外授業実施

 3月8日(金)、立命館守山高等学校理科クラブの生徒らが、生きた真珠貝の解剖と真珠の取り出しに挑戦した。
 三重大学社会連携センター、志摩市内の養殖企業の協力を得て実現したこの日の特別課外授業「真珠の養殖技術と生命の不思議」には、理科クラブの生徒ら11人が参加。松井純氏(三重大学社会連携研究センター特任教授)による真珠の歴史、アコヤ貝の養殖方法と真珠の作成方法などについての講義によって、真珠養殖の難しさや、真珠の養殖技術のメカニズムについて学んだ後、実際に真珠の養殖に使用される生きたアコヤ貝の解剖を行った。

松井純 三重大学社会連携研究センター特任教授

松井純 三重大学社会連携研究センター特任教授


 はじめに、真珠養殖技術の研究も行う藤村卓也氏(若狭大月真珠養殖株式会社)が、真珠形成において重要な役割を果たす外套膜や、心臓、口などの部位を示しながらアコヤ貝の生態について説明。生徒たちは、はじめは恐る恐る貝の解剖を行っていたが、真珠の取り出しに成功するとあちこちから歓声があがった。取り出した真珠には色や形などさまざまな状態のものがあり、なかには、真珠が出てこない貝もあるなど、養殖の難しさや生命の不思議を実際に体験する時間となった。
若狭大月真珠株式会社  藤村卓也氏

若狭大月真珠株式会社 
藤村卓也氏


立命館守山高等学校理科クラブの生徒

立命館守山高等学校理科クラブの生徒




立命館大学
http://www.ritsumei.jp/pickup/detail_j/topics/11614/date/3/year/2013




アコヤガイ真珠養殖技術を科学的に証明

火曜日, 3月 12th, 2013

「外套膜組織片を移植し、真珠核の周りに真珠袋を形成させ、これに真珠を作らせる」という手法は、100年以上前に日本で開発された真珠の養殖技術であるが、実際に供与貝の外套膜組織片由来の細胞が、移植先の母貝の体内に存在し続け、どのように真珠形成に関与しているかは不明のままであった。

アコヤガイの貝殻と真珠および貝殻を形成する外套膜

アコヤガイの貝殻と真珠および貝殻を形成する外套膜

(アコヤガイの貝殻と真珠および貝殻を形成する外套膜)拡大図

真珠養殖の方法

真珠養殖の方法

(あこや真珠養殖作業の流れ)拡大図

水産総合研究センター(水研センター)と麻布大学、三重県水産研究所の研究チームは、これまでの研究において、アコヤガイのDNAを調べ、真珠層形成に関与するN16遺伝子およびN19 遺伝子が、アコヤガイの個体間で塩基配列が異なることを明らかにしていた。

今回の調査では、供与貝の外套膜、真珠袋、母貝の外套膜で働いているこれら2つの遺伝子の塩基配列を決定し、PCR-RFLP法で塩基配列の違いを解析して比較を行った。
今回の研究の概要

今回の研究の概要

(今回の研究の概要)拡大図

この結果、供与貝と挿核12カ月後にサンプリングした母貝との比較、供与貝と挿核18カ月後にサンプリングした母貝との比較のいずれにおいても、塩基配列にもとづいて分けられた遺伝子型や、PCR-RFLP法で得られた各遺伝子型のバンドは、真珠袋と供与貝の外套膜が同じで、母貝の外套膜が異なっていることが示され、このことから移植してから18カ月目までの真珠袋では、供与貝と同じ塩基配列であるN16遺伝子とN19遺伝子が働いていることが確認されたという。
供与貝外套膜と真珠袋および母貝外套膜におけるN16とN19遺伝子の遺伝子型

供与貝外套膜と真珠袋および母貝外套膜におけるN16とN19遺伝子の遺伝子型

N16とN19遺伝子の遺伝子型(拡大図)

研究チームでは、この結果について、真珠袋で供与貝の外套膜組織片由来の細胞が存在し続け、真珠形成に関与していることを示すものとするほか、真珠形成に関与する遺伝子の塩基配列の違いは、真珠を形成する能力にも影響を及ぼす可能性があると説明している。

また、真珠層を形成するのは供与貝由来の真珠袋であることから、母貝は栄養や酸素、真珠層の材料となる物質などを真珠袋の細胞に与え、真珠袋の細胞から出た不要な老廃物などは捨て去るというような、真珠袋の細胞が生き続けて真珠層を形成できる環境を提供する、という役割を担うと考えられるとしている。
PCR-RFLP法で得られた供与貝特有のバンドと母貝特有のバンド

PCR-RFLP法で得られた供与貝特有のバンドと母貝特有のバンド

RFLP法で得られた供与貝特有のバンドと母貝特有のバンド(拡大図)

なお研究チームでは、今回の結果から真珠形成に関与する遺伝子を利用して、高品質真珠を効率よく生産するアコヤガイの開発につながると期待を示すほか、今後、真珠養殖におけるアコヤガイの供与貝と母貝それぞれの役割を明らかにすることで、アコヤガイの飼育管理の改善にもつながることが考えらえるとコメントしている。

今回の研究は、水研センター 増養殖研究所の正岡哲治氏、麻布大学環境保健学部の佐俣哲朗氏、同 野川ちひろし、同 馬場博子氏、麻布大学環境保健学部の小瀧朋弘氏、同 中川葵氏、同 佐藤瑞紀氏、三重県水産研究所の青木秀夫氏、水研センター中央水産研究所の藤原篤志氏、水産総合研究センター研究推進部の小林敬典氏らによるもの。

詳細は2013年3月25日付の「Aquaculture」に掲載される予定。


マイナビニュース 2013年3月11日 16時10分


独立行政法人 水産総合研究センター
独立行政法人 水産総合研究センター 中央水産研究所
  http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr24/250311/index.html
麻布大学環境保健学部
三重県水産研究所






三重大学大学院と共同研究の[真珠貝成分]化粧石鹸

金曜日, 1月 18th, 2013

【産学医の連携】三重大学大学院と共同研究の[真珠貝成分]を配合,皮膚科専門医の協力を得て開発した化粧石鹸「ネイカーホワイト」の販売開始

化粧品の開発・販売等を行う株式会社ネイカーホワイト(所在地:大阪市北区,代表取締役:梶原綾子)は,三重大学大学院生物資源学研究科微生物工学研究室(担当:粟冠和郎教授)と共同研究の「真珠貝成分(焼成アコヤ貝)」を配合し,複数の皮膚科専門医の意見・要望を反映して開発した化粧石鹸「ネイカーホワイト スキンクレンジングソープ」の販売を2013年1月開始しました。
(「ネイカー(NACRE)」は,「真珠貝」を意味します。)

■同微生物工学研究室との共同研究
 真珠貝はバイオマス資源としての活用が期待されるところ,真珠貝(アコヤ貝)を高熱処理した粉末の殺菌効果に着目し,同微生物工学研究室と共同で成分効果試験を実施しました。
 また,「真珠貝成分(焼成アコヤ貝)」を様々な製品に有効活用をする前提として,人体に対する安全性検証のため,同微生物工学研究室と共同で実験を行いました。

■皮膚科専門医の協力を得た商品開発
 「真珠貝成分(焼成アコヤ貝)」を配合した石けんを商品化するにあたっては,複数の皮膚科専門医の協力を得て,臨床の現場で患者の方々に試用いただき,それにより集積された意見や要望に基づいて改良等を行いました。また,健康な皮膚の方々を対象とするテスト等も実施しました。
 本製品は,皮膚科専門医の意見・要望に基づいて,≪アレルギー反応の回避≫,≪肌に対する低刺激性≫,≪香料や着色料等の無添加≫を重視しています。

【取材,製品詳細,販売等に関するお問い合わせ】
商号:株式会社ネイカーホワイト
所在地:大阪市北区梅田2-5-4千代田ビル西館9階
事業内容:医薬品、医薬部外品、化粧品等の研究、開発、製造、輸出入及び販売
TEL:06-6343-0057
FAX:06-6343-0058
E-mail:info@nacre-white.com
URL:http://www.nacre-white.com
広報担当:朝山めぐみ

成分
カリ含有石けん素地/グリセリン/加水分解コラーゲン/ヒアルロン酸Na/水/ローヤルゼリーエキス/カキカラ/ベントナイト/グルコン酸Na/エチドロン酸/エタノール/EDTA-4Na/コカミドプロピルベタイン

カリ含有石けん素地の含有成分
ラウリン酸Na/ラウリン酸K/ミリスチン酸Na/ミリスチン酸K/パルミチン酸Na/パルミチン酸K/ステアリン酸Na/オレイン酸Na/リノール酸Na



牡蠣の貝殻に真珠
個人的な意見・・・・
HPに掲載されている写真は牡蠣の貝殻です。
(成分欄にも「カキカラ」と掲載されています)
プレスでは「真珠貝成分(焼成アコヤ貝)」の研究成果を述べてはいるのですが本商品にアコヤ貝は使用していないのか?
また、掲載写真の真珠はギミックだと思う。本物の輝きの良いきれいな真珠を使ってほしかったです(ボソッ)
最後にnacreは、正確には真珠層です。(真珠層のある貝=真珠貝でも間違いではないです)

【2013年1月23日

株式会社ネイカーホワイトさんからご連絡を頂戴しました。
本製品に使用しているのは「焼成あこや貝」で正しかったです。
INCIコード(化粧品原料国際命名法)の指示に従ってしまうと「カキカラ」表示になります。
また一つ学びを得ました。ありがとうございます。
ちなみに、本文を掲載した後、直ぐに石鹸を注文させて頂き、既に使用をしております。
率直な感想として「お勧め!」です。

頂戴したメール文章
 弊社の製品について記事を書いて頂いてありがとうございます。
 「プレスでは「真珠貝成分(焼成アコヤ貝)」の研究成果を述べてはいるのですが本商品にアコヤ貝は使用していないのか?」との点ですが,もちろんアコヤ貝を使用しています。牡蠣の貝ではありません。
 成分欄にカキカラと記載されているのは,アコヤ貝の粉末がINCIコードという化粧品の成分の特定において「カキカラ(oyster shell powder)」という名称で登録されているので,それに従っているからです。

 ウェブサイトの写真ですが,現在ウェブサイトがまだ準備段階で,いずれ良い写真に更新したいと思っています。
 きれいな真珠の写真に是非したいと思っています(^^)

 今後ともよろしくお願い致します。
http://www.nacre-white.com








長崎県対馬の真珠養殖青年部に天皇杯

水曜日, 11月 21st, 2012

 病気に強い真珠の養殖貝を開発し、生産性の向上に貢献したとして、対馬市の対馬真珠養殖漁協青年部(15人)が、第51回農林水産祭の経営(漁業経営改善)部門で最高賞の天皇杯を受賞した。長崎県内から天皇杯の受賞者が出たのは27年ぶり。表彰式は23日に東京で行われる。

 1994年以降、西日本を中心に養殖用のアコヤガイが死ぬ赤変病が流行したことから、青年部は県総合水産試験場や県対馬水産業普及指導センターと連携して対策を研究。赤変病は伝染性疾病と突き止め、被害の拡大防止のほか、良質の真珠の生産率を高める技術の開発にも成功した。

 開発した技術は全国に普及し、3月に東京で開かれた第17回全国青年・女性漁業者交流大会で報告したところ、業界全体の生産性向上に寄与したとして、最高賞の農林水産大臣賞を受賞。農林水産祭では、41件の候補の中から天皇杯に選ばれた。

 青年部の日高政明部長(43)は「対馬産の真珠が全国でもトップクラスになるよう、今後も研究に取り組みたい」と意気込みを語り、同組合の平井善正組合長は「対馬の真珠の知名度を高めてくれた。新しいテーマに向かって、さらに頑張ってほしい」とエールを送った。

 長崎県内では、1985年度に同市の厳原町漁協青年部が技術部門の「ひじき養殖」で天皇杯を受賞した。
(2012年11月21日 読売新聞:長崎県版)



「真珠学会」 2012志摩

水曜日, 10月 17th, 2012

日本科学誌協会特別講演会 2012
市民真珠科学談話会 2012 志摩


日時:2012年10月27日(土) 
   受付:8:30
   開始:9:00~
    第一部:日本科学誌協会特別講演会
    第二部:市民真珠科学談話会

会場:三重県志摩市阿児町神明723-8
   代々木高校 賢島本校一階ホール
   0599-43-6177

主催:NPO法人日本科学士協会
後援:志摩市、日本応用細胞生物学会、代々木高校、
   伊勢志摩元気プロジェクト(賢島大学)

参加費用: 1000円

懇親食事会:市民真珠科学談話会終了後、下記会場にて実施
      17:00~18:30
      ファミリーホテル はな屋(賢島港前)
      0599-46-1020
懇親会参加会費:3000円

参加申し込み:517‐0218 志摩市磯部町築地1557-6
       大会世話人代表:町井 昭(日本科学士協会)
       TEL/FAX:0599-55-2241

メール申込・問合:machyak@amigo.ne.jp
nishio@yoyogi.ed.jp (代々木高校 西尾)
ktmwada@shima.mctv.ne.jp (元養殖研究所 和田克彦)

当日世話人:受付責任者:藤村卓也 (若狭大月真珠養殖)
      会場責任者:石川 卓(三重大学大学院生物資源学研究科)

日本科学士協会、市民談話会、団体に関するお問い合わせ
     981‐1104 宮城県仙台市太白区中田3-8-2
     NPO法人日本科学士協会事務局 猪岡尚志
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真珠学会  当日タイムスケジュール

【生体材料】実験室で真珠層を作る

木曜日, 7月 26th, 2012

Biomaterials: Mother of pearl in the lab

Nature Communications, July 25, 2012

A strategy for making artificial nacre, more commonly known as mother of pearl, is reported for the first time in Nature Communications this week. This nature-inspired process may pave the way for tough and iridescent surface coatings which can be made from cheap starting materials and uses sustainable methods.

Nacre is a biomaterial with a multi-layered organic-inorganic structure which displays greater mechanical strength and optical iridescence than either of its components. Ulrich Steiner and his colleagues use a layer by layer approach to manufacture artificial nacre from calcium carbonate – mimicking the natural growth conditions. The resulting material is iridescent and displays greater mechanical toughness than natural nacre

The development of artificial nacre should lead to a deeper understanding of how this material forms in molluscs and how we can enhance its properties in the lab.

Nature Communications, 2012年07月25日
真珠層を人工的に作製する方法を初めて報告した論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。このプロセスは、自然からヒントを得て考案されたもので、低コストの出発原料と持続可能な方法によって、虹色を発する強靭な皮膜を形成するコーティング剤を製造する道が開かれるかもしれない。

真珠層は、有機質と無機質の多層構造の生体材料で、その機械的強度と虹色発色性は、その個々の成分よりも優れている。今回、U Steinerたちは、自然の成長条件を模倣して、一層ずつ積み上げていく方法を用いて、炭酸カルシウムから人工真珠層を作製した。その結果得られた材料は虹色を発し、天然の真珠層よりも機械的靱性が優れていた。

今回、人工真珠層が開発されたことで、軟体動物における真珠層の形成過程、そして、実験室で人工真珠層の特性を向上させる方法に関する研究が促進されると考えられる。



Nature Communications 一部抜粋(全文は有料)
http://www.nature.com/ncomms/journal/v3/n7/full/ncomms1970.html
Nacre is a technologically remarkable organic–inorganic composite biomaterial. It consists of an ordered multilayer structure of crystalline calcium carbonate platelets separated by porous organic layers. This microstructure exhibits both optical iridescence and mechanical toughness, which transcend those of its constituent components. Replication of nacre is essential for understanding this complex biomineral, and paves the way for tough coatings fabricated from cheap abundant materials. Fabricating a calcitic nacre imitation with biologically similar optical and mechanical properties will likely require following all steps taken in biogenic nacre synthesis. Here we present a route to artificial nacre that mimics the natural layer-by-layer approach to fabricate a hierarchical crystalline multilayer material. Its structure–function relationship was confirmed by nacre-like mechanical properties and striking optical iridescence. Our biomimetic route uses the interplay of polymer-mediated mineral growth, combined with layer-by-layer deposition of porous organic films. This is the first successful attempt to replicate nacre, using CaCO3.








Biomimetic Layer-by-Layer Assembly of Artificial Nacre –Supplementary Information
(人工真珠層のバイオミメティック層ごとのアセンブリ -補足情報)
http://www.nature.com/ncomms/journal/v3/n7/extref/ncomms1970-s1.pdf