ホーム >真珠のお話 >サークルの謎・・・自然界の不思議な現象
自然界には実に不思議な格好をした物がたくさん存在しています。
計算し尽くされたかのような幾何学模様を見せる雪の結晶。
規則正しく六角形の連なる蜂の巣や亀甲模様。
螺旋状の三次元空間を築く巻貝。
数えあげればきりがありません。これらは自然の法則や遺伝子情報によってかたちづくられたものですが、あまりの美しさや精密さに、これぞ神の手によるものではと、思わざるを得ないことがしばしばあります。
これらのものが、どれほどの時間を要して、どのように形成されたのかまで想像をはせると、心は空想の世界へと導かれてしまいます。
真珠も、海が育んだ不思議な現象の一つ。
真珠は「貝の体内にできた貝殻である」(1717年レオミュール・仏)という言葉の通り、貝の自らの貝殻を作る機能から作られています。
真珠養殖では、一般に貝(母貝)の体内に別の貝の外套膜の小片(ピース)を核とともに挿入しますが、この小片は核を取り囲み真珠袋を形成し、その内部に真珠を作り始めます。
真珠のかたちは基本的に核に規定されるので、通常丸い真珠を作るべく球状の核を使用しています。
にもかかわらず、できあがった真珠は様々なかたちをしています。
八方ころがしと呼ばれる真円真珠が最高級と賞賛される一方で、ドロップ・バロック・サークル等変形の真珠も多く出現します。ここがまた、生物の作り出した宝石《真珠》の魅力だともいえましょう。
これからの変形真珠は市場においては、一般に評価が低いものですが、そのユニークな格好、世界に二つとない個性的な風貌がなんとも素敵です。
その中でもとりわけサークル珠は、本当に面白い形をしています。
サークル珠とは同心円状に筋が入った珠のことを言い、多くの場合、一方に突起が発達することから、別名コマ珠などとも呼ばれています。
サイズか大きく立派なことや、ピーコックグリーンに代表される多彩な色調から人気が高まってきた黒蝶真珠ですが、真円真珠を作ることが極めて難しく、そのほとんどが変形珠、とりわけサークル珠が多いのが特徴で、全体の30%にも及びます。
そのために美しい光沢を備えながら商品価値の低いものが少なくありません。
養殖現場では、いかにこのサークル珠の出現率を下げるかが課題となっています。
では、なぜサークル珠はできるのでしょうか?
サークルの成因については、「真珠袋説」「ピース説」「回転説」などの諸説こそあれ、今だ定説がありません。
真珠を真二つに切り、その断面を観察するとびっくりすることに突起を貫く軸に対して、まったく左右対称、形ばかりでなく色素の出方までも判を押したかのようにお対になっていたのです。
さらに電子顕微鏡で結晶板構造を観察すると、対称位置の2点では結晶板の厚さや配列までもほとんど一致しています。
実に摩訶不思議。ただただ驚くばかりです。
いずれにしても貝の体の中のできごと。
サークル珠の成因については現段階においていまだ推定の域を脱していません。
しかし特筆すべきはサークル珠はどれもこれも、ろくろで回転させて作った焼き物のような形態をしています。
どうやら「回転説」も否定できないと思われます。
生物の作り出す宝石《真珠》は、養殖といえども神秘のベールにつつまれています。
今後も「サークルの謎」究明の旅はまだまだ続きそうです。
※真珠科学研究所「パールニュース」より許可を得て引用しています。