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華やかなピンクの輝き

さまざまな色を持つ真珠の中でも、とりわけ人気の高いのがピンク系真珠です。
ピンク系真珠は、華やかさと愛らしさをあわせ持ち、あなたの装いを可憐に、そして優雅に演出します。

でも、一口に「ピンク」といっても、その色合いは様々ですよね。
「花珠」と呼ばれる最高品質の真珠もこの一つ。

真珠養殖草創の頃、生産者たちが追い求めていた真珠がありました。

「鋭い輝きの中にピンク色がにじみ出て、しっかりした巻きと無傷のきれいな面、八方転がりとも言われる真円のかたち」
これが理想の真珠の姿といわれています。
そして、そんな最高の真珠を誰が言うともなく、生産者の間で「花珠」と称されていました。

このルーツが変遷し、やがて「真珠はピンク色が良い」という一種のピンク神話が生まれるのです。

てりとピンク色

ピンク系の真珠は、大きく3種類に分かれます。
ひとつは「てりと結びついた」ピンク。
二つめは「色素」によるピンク。
そして三つめは、「着色」によるピンク色です。

真珠の「てり」とは、真珠層で起きる光の干渉現象のことをいいます。
光の干渉現象のことはシャボン玉の七色を例にしてよく説明されますが、特殊な構造体で起きる光がつくる色の輝きのことです。
私たちが身近に見るものとしては、シャボン玉の他に、玉虫や黄金虫などの甲虫、あるいは南米に生息するモルフォ蝶など一部の昆虫の羽に見られるまばゆいばかりの緑や青色、あるいは孔雀の羽の輝く緑色などが光の干渉現象です。すべて羽が特殊構造のためこの現象が起きるのです。

真珠は「真珠層」という特殊な層からできており、こういう構造をしているために、光があたると干渉現象が起こります。
真珠層のミクロのカルシウム結晶層が「薄いか」「厚いか」で出てくる色が異なります。
これが薄いとピンク、厚いとグリーンになるのです。
また、層の積み重なり方が整然としていればいるほど、輝きは強くなります。
従って、薄い結晶層が整然と積み重なっている構造をもつ真珠層で起きる光の干渉現象は、まさに「鋭い輝きの中にピンク色がにじみ出て」ということになるわけです。

色素とピンク色

真珠層では、たんぱく質が大切な役目を担います。
ミクロの薄い結晶層を接着しているのがたんぱく質だからです。
また、このたんぱく質自体にピンク色の色素が含まれていると、その真珠はピンク色を呈します。

ピンク色の色素は貝固有のものですから、真珠を作るすべての貝が分泌するものではありません。
アコヤ貝では極々稀に出る場合があります。
また、淡水の池蝶貝、ヒレイケチョウガイ(中国産)の場合は、パープル系の色素を分泌しますので、それが薄い場合はピンク色になります。

天然真珠の「コンクパール」のピンクは珍重されていますが、これも色素によるものです。

着色によるピンク色

日本のアコヤ真珠のほとんどの商品には、薄いピンク色への着色が施されています。
これは法律的裏付けもあり、国際的にも是認されていますので、決してルール違反の行為ではありません。
しかし、ピンク色に見えるピンクそのものが染料によるものであることは紛れもない事実です。

この場合、ピンクへの着色はほとんど画一的、流れ作業的に施されています。
というのは浜揚げされたアコヤ真珠は、穿孔後、漂白、着色されて商品化されるという作業工程システムが数十年の間に定着されているのです。

また、このことは「てりによるピンク色」を放つ真珠も、てりが弱くほとんどピンク色を出さない真珠も、あるいは干渉による色がグリーンの真珠も、すべてピンクへの着色が施されるということを意味しています。
従って、私たちの目に見えるピンク色を分類すると次のようになります。

● 干渉によるピンク色と着色によるピンク色の共存の場合
● 干渉によるグリーン色と着色によるピンク色の共存の場合
● 着色によるピンク色だけの場合

真珠をピンクに染める

「着色」というと簡単なことに聞こえてしまいますが、実はそう単純なことではありません。
「溶解性」(アルコールに溶けるかどうか)や、「日光堅牢度」(褪色しにくさ)、「親和性」(真珠と馴染むかどうか)など、多くのテストと試行錯誤の結果、染料は決められています。

真珠科学研究所での、ピンク色に関する鑑別・鑑定の現状

弊社がもっとも信頼を置いている、真珠研究の第一人者・小松博先生の主宰されている「真珠科学研究所」では、ピンク色に関する鑑別・鑑定(グレーディング)を次の様に定められています。

○ 鑑別
1.調色について
ピンク色に薄く着色したアコヤ真珠(調色という業界呼称)については、当研究所は鑑別の対象にしていません。
上述したように法律的にも、商慣習からいっても、あるいは国際的なルールからも是認されているからです。また「エンハンスメント」なる言葉の記載もしていません。

2.無調色について
最近多くなってきた商品にこの「無調色」とか「ナチュラルホワイト」と呼ばれる、漂白はしているがピンク色への着色を施していないアコヤ真珠があります。
この鑑別、ピンク色への着色を施しているかいないかの鑑別については、目視判断をしています。非破壊検査が前提である真珠鑑別にとって、「調色」のような薄い着色の痕跡を分光特性検査などの機器分析では不可能であるからです。 目視判断は、白いクロスの上に真珠を置き、真珠の周縁部あるいは真珠どうしが接する場所を詳細に観察して行っています。

3.有色核について
極めて珍しい例ですが、赤い珊瑚やセラミックなどを核にした「ピンク真珠」があります。この場合は核の色が透けて見えるため、概観するとピンク色に見えます。これはブルー系真珠の鑑別と同じように、光透過法で容易に判断が可能です。

○ 鑑定(グレーディング)
てりの赤みが(干渉によるピンク色の発現)、どのくらい強いかという判断は、当研究所の場合「花珠鑑定」の際に限って行われます。
これは、てりの判定の際、合格基準のボーダー付近のある真珠については赤みの程度を重視するからです。この場合どのように赤みを見るかですが、画像処理による色測定の他、「オーロラ効果」によるグリーン色の発現を目安にしています。

光の干渉とピンク、理論最前線

少し難しい話になりますが、光の干渉とピンクについての最新の学説をご紹介しましょう。

(図3)結晶層によって反射された光の干渉

<従来の説>

真珠層は、厚さ約0.2から2ミクロン位のアラゴナイト結晶とたんぱく質より構成された薄板が、核に沿って同心円状に累積したものである。

真珠に入射した光は表面および結晶層で反射し、たがいに干渉しあう(図3)

表面部の結晶層の厚さが300〜400ミクロンで、一定に配列している場合、輝きを伴ったピンク色が出る。

↓

(図4)複屈折を考慮した結晶層での光の干渉

<最新の説>

※上部傍点箇所が最新説

真珠層は、厚さ約0.2から2ミクロン位の、複屈折性を持つアラドナイト結晶とたんぱく質より構成された薄板が、核に沿って同心円状に累積したものである。

真珠に入射した光は表面および結晶層で反射し、たがいに干渉しあい、
正常光と異常光(偏光)の干渉色を出す。(図4)

表面部の結晶層の厚さが300〜400ミクロンで、一定に配列している場合、
輝きを伴ったグリーン(正常光)とピンク(異常光)が出る。

その際真珠の上半球には、上方よりの直射光による干渉色が、
下半球には周辺からの拡散光による干渉色が出る。

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