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「天草からのたより」No.4----2000年 6月 15日

トラフグ養殖用ホルマリン無登録販売について

2000年4月25日
天草の海からホルマリンをなくす会事務局長:松本基督


  2000年4月22日付熊本日日新聞によると、21日に熊本県警・大矢野・本渡署はホルマリ
ンを無登録で販売したとして毒劇法違反容疑で三角町の会社員ら3人と1法人を熊本地検に
書類送検した、とのこと。(記事参照)三角町の会社員は1月25日に同容疑で県に告発さ
れていた。この事に関して、次のとうり問題点・疑問点をコメントする。


@.無登録販売はいつまでされたか?
警察発表によると販売は1998年12月18日頃から2000年1月17日頃まで9回にわた
り御所浦町などのフグ養殖業者9人に対し行われたとのこと。県は1999年11月上旬、
御所浦地区にてホルマリン不使用指導の徹底と在庫を漁協が回収した、と説明していたが
(2月16日報道資料)、その後も無登録販売が続けられていたわけである。
そして再度在庫の回収がなされたとの報告はない。
とすれば、指導徹底と在庫回収後に販売されたホルマリンは使用されたか、在庫として保
有しているか、いずれかである。その確認と対策が明確に示されなければならない。
'99年10月8日に私たちが県の立ち会いのもとホルマリン薬浴現場を確認してからの
大々的な報道で大きな社会問題となり、県や漁協・各市町村のホルマリン使用一掃のため
により真剣な取り組みがなされたと思われていた。
  ところが、そんな事とは全く無関係に、平然と無登録販売と不法使用が10月の使用再
発覚以降も告発される直前まで3ヶ月も続けられていたのである。ホルマリンの代替薬が
認可され、ホルマリン使用禁止が行使規則に明言してあっても、なおかつ使用が止まない
のはやはり地元の住民が証言するように、ホルマリンなしでは大規模なトラフグ養殖は成
り立たないのではないか、と思わざるを得ない。
  県や漁協は養殖漁場を船で巡回し、薬浴状況を抜き打ち的に検査したが、一度もホルマ
リン使用は確認されなかったとしていた。
  ホルマリンの不正使用が明るみになる度に県や漁協からなされる決まり文句のコメント
「今後は絶対に使用されることのないように指導を徹底する」事がいかに実効性に乏しい
か今回改めて浮き彫りになった。
トラフグ養殖は長崎・愛媛・香川・鹿児島など多くの水産県で行われており、報道されな
いだけでどの県もほぼ状況は同様であると思われる。大量のホルマリン垂れ流しが今後も
続いていけば、まさしく沿岸海域の破壊に直結するだろう。

A.行方不明のホルマリンの行き先は?
  記事によるとA会社員はホルマリン16400kgを販売し、1580kgを自宅に貯蔵して
いたとのこと。AはB会社員から24000kgを購入したとされ、24000‐(16400+1580)=6020
kgものホルマリンがどうなったか分からない。このように大量の有害性劇物が行方不明(分
かっていても発表できない?)なのは化学物質による汚染や事件が多発する現在の社会状況
の中で大問題である。その事を追跡してきちんと解明されなければならない。

B.正規の売買手続を経た販売について
  同じ記事によると、A会社員は他にも複数のルートから仕入れていたが、時効分や正規
の売買手続きを経た分は今回立件されなかった、とある。ホルマリンの無登録販売による
毒劇法違反容疑なのに正規の売買手続きを経た分があったとはおかしな話だ。水産サイド
では現場での使用は確認していないと言うが、薬務課サイドから販売者の伝票を調査すれ
ば毒劇法に基づく適法なホルマリンの販売が、使ってはいけないはずの魚類養殖業者にど
の位なされているか分かるのだ。(無登録販売や伝票操作をした分は不可能だが。)
  魚類養殖ではトラフグのみならずヒラメ・カンパチなどもホルマリンを大量に使用する
といわれており、本当にホルマリン根絶を図るには登録業者から正規の売買手続きを経て
魚類養殖業者へ販売されたホルマリンの一斉調査を全国的に行って、少なくとも正規の流
通量だけでも把握することは絶対に必要だ!(今までは現場で使われているホルマリンが
裏流通かどうかすら不明である。)

C.省庁による魚類養殖でのホルマリン使用状況調査
  これまで水産庁や環境庁は現場海域のホルマリンモニタリング調査を行なったり、養殖
現場での使用状況を各県を通じて把握し、いずれの養殖場においても使用されていない、
としてきた。しかし、これも現場に張り付いて抜き打ち的に調べた訳ではなく、ただ電話
等で聞き取りしただけのもので実態を捉えているとはとうてい思えない。
その後、熊本や愛媛で市民団体の調査でホルマリン保管や使用が確認されたことからも、
水産庁や環境庁の調査はずさんとしか言いようがない。
  厚生省は1997年1月にホルムアルデヒドを業務上取り扱うトラフグ養殖業者に対する
立ち入り検査や販売業者の毒劇法に基づく登録の有無についての調査各県に依頼して行な
った。(薬発第13号平成9年1月8日付)
  その詳細な結果は明らかにされていないが、1998年3月8日付朝日新聞(名古屋本社
版以西で第1面トップ)によると1996年時点で20県・約550業者が養殖事業を行ない、
このうち使用確認が把握されただけでも11県・約226業者と全体の約4割を占めた、と
ある。厚生省の調査依頼は例えば熊本の場合、県衛生部薬務課から関係各漁協に調査表が
送付され、漁協が当該業者から聞き取り調査を行ないそれを取りまとめて県に報告、県は
その結果を厚生省に伝える、というように調査がなされたようだ。対象はトラフグ業者だ
けであり、しかも、業者がウソの報告をすれば立ち入り調査もなかったはずで必ずしも調
査結果が実態をありのままを表しているとは決していえない。
  それでも、結果が判明しているだけでもその内容を明らかにして、分かる範囲でその時
点での使用状況の把握をすべきだろう。1997年の厚生省の調査は前述のようにホルマリン
の末端購入者からボトムアップ式に情報を積み上げていったが、さらに、B項で述べたよ
うに登録業者から正規の売買手続きを経て魚類養殖業者へ販売されたホルマリンの一斉調
査を全国的に行わせ、少なくとも正規の流通量だけでも掴んでおかなければならない。
  これまでのように使用が発覚する度に県や水産庁が繰り返す「指導の徹底」にこの問題
を委ねておけば、いつまでも「いたちごっこ」が続くことだろう。そして日本各地の海が
ホルマリン消毒され、抗菌時代にぴったりの、何もいない「きれいな」海があちこちに誕
生するにちがいない。

 

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