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「天草からのたより」No.2----2000年 6月 11日

「植物性プランクトンの増殖に及ぼす影響」実験についてのコメント

2000年4月4日
天草の海からホルマリンをなくす会  事務局長:松本基督

2000年3月16日の熊本県議会環境対策特別委員会において県水産振興課長はホルマリ ンが植物性プランクトンの増殖に及ぼす影響について県水産研究センターが簡単な実験を 行ない、確認している旨の答弁をした。 その内容について以下のようにコメントする。
1996年にトラフグ養殖によるホルマリン大量使用・垂れ流しが発覚して以来、私たちは ずっとホルマリンが水産生物に与える影響について調査すべきであると要望しつづけてき たが、県はいろいろな理由をつけてそれを避けてきた。
この度入手した実験結果はすでに問題が発覚した1996年11月に行われたものであり、熊 本県の情報公開についての閉鎖性がうかがわれる。

実験は4種の植物性プランクトンについて行っており、県水産研究センターによる実験 結果に加えてそれぞれの濃度別の増殖率・対照区を100%とした場合の増殖係数を以下に 示す。
(試験方法・培養条件等は水産研究センタ−の実験結果を参照)

@ホルマリン濃度別による植物プランクトンSkeletonema  costatumの増殖試験結果

 

対照区

0.01ppm

0.1ppm

1.0ppm

10.0ppm

50.0ppm

48時間後の増殖率

3.65

3.88

2.17

1.36

対照区に対する

増殖係数(%)

100

106

59

37

 

Aホルマリン濃度別による植物プランクトンChartoceros pseudocurvisetuの増殖試験結果

 

対照区

0.01ppm

0.1ppm

1.0ppm

10.0ppm

50.0ppm

48時間後の増殖率

5.63

5.43

6.87

5.05

2.49

対照区に対する

増殖係数(%)

100

96

122

90

44

 Bホルマリン濃度別による植物プランクトンCosinodisucusの増殖試験結果

 

対照区

0.01ppm

0.1ppm

1.0ppm

10.0ppm

50.0ppm

48時間後の増殖率

3.45

2.84

2.50

2.62

1.09

0.45

対照区に対する

増殖係数(%)

100

82

72

76

32

13

 Cホルマリン濃度別による植物プランクトンThalassiosiraの増殖試験結果

 

対照区

0.01ppm

0.1ppm

1.0ppm

10.0ppm

50.0ppm

48時間後の増殖率

8.11

4.00

3.53

3.17

0.48

0.036

対照区に対する

増殖係数(%)

100

49

44

39

6

0.4

実験結果に対するコメント:
対照区に比較して、@については.0.1 ppmから明らかな増殖阻害が認められ、Aは10 ppmから、BとCは0.01 ppmからその影響が認められる。
なお、同様の実験を水産庁養殖研究所も行っており、「平成9年度アコヤガイ大量へい 死原因究明に関する水産庁研究所研究成果報告書」にその実験結果が記載されている。

実験は@Chaetoceros gracilis,ANitzschia sp.についてホルムアルデヒド濃度を0, 0.1,0.5,1.0,5.0,50.0,100.0,500.0 ppmに設定して10〜11日間行われている。
それによると、@の実験終了時には0から1.0 ppm区のクロロフィルa濃度はすべて等し くなり、5.0 ppm以上では増殖しなかった(死滅した)、とある。Aについては0と0.5 ppm 区ではクロロフィルa濃度はほぼ等しく、5.0 ppm以上では@と同様に増殖せず(死滅した)、 0.5 ppm区では対照区の84%、1.0 ppm区では対照区の71%となり、ホルムアルデヒド による影響が示唆され、これらの影響は光合成能の低下に結びつく可能性がある、と報告 されている。
考察には「薬浴に使用されるホルムアルデヒド含有海水が大規模に環境中に放出された 場合、拡散希釈されるまでの間に海水中の珪藻が死滅または増殖抑制を受け、その影響で 一定期間、当該環境中の珪藻密度が低下する可能性が示唆される。」との記載がある。 これらの珪藻類(植物性プランクトン)はすべての海産生物の出発点であり、その死滅・増殖阻害は生態系への重大な影響が及ぶ。
このような植物・動物プランクトンや海藻類・魚介類の幼生などに対する影響実験は簡単にできるになぜもっと県や水産庁はやろうとしないのか実に不可解だ。 そのような調査・研究を行いもせずに、魚類養殖によるホルマリン使用禁止の条例化・ 法制化への要望に対して科学的な根拠が十分解明されていない、と言い張るのはそれこそ 非科学的ではないのか。
私が97年5月に行ったアコヤガイ幼生(100〜125ミクロン程度)に対するホルマリンの影響 はわずか0.3 ppm(ホルマリンとして)でも、スムースに泳動していたものが滴下後数分で 狂ったように痙攣する反応を示したことからもその毒性は明らかである。(顕微鏡ビデオ映像あり)

なお、これらの実験はホルマリン(ホルムアルデヒド)に関する影響を調べたものである。
ホルマリンが海水中に放流され、化学的に変化してその代謝物が生成された場合の毒性や影響を調べたわけではないので、実海域でホルマリンが検出されないからといってその影響はないということは断じていうことは出来ない!
ホルマリンがプランクトンなどと結びついて生成されたものの性質や毒性に関する調査・研究も不可欠である。

PS:トラフグなどの魚類養殖の寄生虫駆除に用いられたホルマリンは熊本県だけでも3000 dにも上ったといわれ、これがもし一度に使用されたと仮定すると不知火海全体がホルマ リン濃度1.2ppmになってしまうすさまじい量である。(不知火海の体積を25km3と仮定) そしてこの濃度であれば、熊本県水産研究センターが行った植物プランクトンの増殖に及ぼす影響実験に用いた4種のうち3種までもが深刻な増殖阻害を受けることになる。 それはまさしく海全体の生産力の低下を意味するのだ。

 


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