アーカイブ 3月, 2014

真珠養殖の先駆者

土曜日, 3月 22nd, 2014

三重県志摩市にある、大石博久さん宅の蔵の横に50数年前のあこや貝の貝殻が眠っている。

大石博久さん宅


大石さんのお父さんが真珠養殖をされていた頃、ハートの真珠にチャレンジしていたと語ってくれた。
結果としては成功しなかったというが、先人たちの強い想いが見える。

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真珠は丸いものであるとの固定観念が強い時代に、ハートの真珠を生み出したいとの夢を、叶えは出来なかったかもしれないが持ち続けた先輩が確かにいた。

手法はマベ真珠の生産と同じ手法。
蝋石(ろうせき)をハート型に彫刻してアコヤ貝の内側に貼り付ける。
貝が持つ本能、貝殻形成力(貝殻を作ろうとする本能)を利用して蝋石の表面に真珠層を形成させていく。

これ以外に「えびす大黒」の顔の真珠を作っており、三個成功した。
そのうちのひとつは大石さんが所蔵し、あとの二つは海を渡って英連邦宝石学協会鉱物博物館とフランス宝石学協会に寄贈したという。

「えびす大黒も同じ様に蝋石をえびすの顔に彫刻して入れるのですがエクボやホクロ、コブが自然と出来て一つ一つ顔が変わっていきます。ユニークですよ。」と、大石さんは言う。

アイデアマンであった、親父さんたちは、核をお茶葉に浸けて核に茶渋を着けてブルーパールを作ったり色々なことにチャレンジしていたんだ。
素晴らしい先輩たちに敬意を表すると共に、我々が本物の真珠の良さをもっとアピールする努力をしなければと強く思います。

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写真等の資料を頂戴しました。
ありがとうございます。 
株式会社 BIG STONE 代表取締役 大石 博久 氏
http://www.lemongrass-spa.jp






神奈川県三浦市  真珠養殖 復活プロジェク

木曜日, 3月 6th, 2014

三崎のマグロで知られる神奈川県三浦市で、真珠養殖の復活プロジェクトが動き出した。
世界初の養殖技術はもともと、三浦半島先端にある東京大学三崎臨海実験所(三浦市三崎町小網代〈こあじろ〉)で明治期に研究されていたが、地元で産業化されず忘れ去られていた。
宝飾大手ミキモト(東京都中央区)も巻き込み、幻の「三浦産真珠」に夢が膨らむ。

1月下旬、実験所の実習室。実験所のスタッフやミキモト社員らが、約30個のアコヤガイを開いた。
昨年夏に小学生20人が真珠の芯となる直径5ミリの「核」を入れ、近くの海で養殖してきた「成果」の確認だ。

かろうじて真珠になっていたのは1個。それも、
とても商品にはならない。
「プロが核入れしても、商品になるのは10個に1個」。
ミキモトで真珠研究に取り組む樋口恵太さんは話す。

1886(明治19)年に設立された実験所は、近代日本の海の動物研究の拠点だ。
初代所長の箕作佳吉(みつくりかきち=1857~1909)が、ミキモト創業者で「真珠王」と呼ばれた御木本幸吉(1858~1954)に真珠養殖の事業化に向けて技術的なアドバイスをしたとされる。
1899年には実験所に御木本が来て、箕作と研究の進み具合を話し合ったとの記録も残る。

だが、御木本は故郷の三重県の英虞(あご)湾で養殖に着手した。
一方、実験所では明治の終わりに養殖場を廃止。戦後まで業者が三浦半島で養殖をしていたとも言われるが、「三浦産真珠」は忘れ去られた。

現在の実験所長でプロジェクトを主導する赤坂甲治教授(分子細胞生物学)は「人口急増と都市化で周辺の海が汚れ、三浦ではアコヤガイが育たなかったのではないか」と分析する。
いまは下水の処理技術の向上で「生態系が豊かになりつつある」という。

ただ、学生のころから実験所に通う赤坂教授も、ここが「真珠養殖発祥の地」だとは長く知らなかったという。
きっかけは2008年、ミキモトがシンポジウムでの講演を赤坂教授に依頼したこと。
再び縁は深まり、09年には実験所とミキモトが共同研究を始めた。
10年からは毎年夏に、ミキモトが小学生に核入れをしてもらう体験会を実験所で行っている。

プロジェクトが本格的に動き出したのは昨年秋。
赤坂教授が中心となり、実験所に隣接する水族館「京急油壺(あぶらつぼ)マリンパーク」や地元漁協、三浦市、ミキモトなどと復活に向けた協議を開始。
まずは、三浦産のアコヤガイを増やそうと、漁協が100個の母貝の養殖に着手した。
16年には、漁協で育てる稚貝の養殖を数千個規模にまで拡大させる計画だ。

ただ、ミキモトは三重県と福岡県に養殖場を構えており、三浦半島での養殖は「あくまでも研究の一環」(広報宣伝課)として、本格的な養殖には否定的。「三浦産真珠」が市場に出回ることは今のところなさそうだ。
一方、実験所は、真珠養殖を、子どもの海洋教育に役立てたい考え。実験所の浪崎直子特任研究員は「貝の生態だけではなく、物理や化学も学べるモデル教材になり得る」。
アコヤガイを養殖する地元漁協の出口浩さんも「近くの海で真珠ができることを示し、子どもたちに地元の海のよさを知ってもらえれば」と話す。

赤坂教授は「海洋教育に限らず、将来的には観光者向けの核入れ体験など、次の展開もありうる」と期待する。

(朝日新聞2014年3月3日:久保智)