アーカイブ 3月, 2013

ベトナム真珠を世界へ

月曜日, 3月 25th, 2013

 「真珠のトゥアン」と呼ばれる青年がいる。彼はベトナム初の真珠ブランド「ホアンザー・パール」を生み出した人物だ。穏やかな顔つきをした長身の青年ホー・タイン・トゥアン氏は、真珠への愛とベトナムブランドを世に出したいという情熱と共に歩んできた人生について熱く語ってくれた。

 10数年を振り返ってみると、思いがけない人生の選択がこれほどまで長い道のりになるとは思っていなかったという。トゥアン氏は技術系大学を卒業した後、IT系の大企業に就職した。彼は会社の業務でたまたまベトナムの海で真珠の養殖に取り組んでいるフランス専門家チームのウェブサイト制作を担当することになった。ちょうど真珠に詳しい親戚がいた彼は、真珠に関する知識を仕入れることができ、ウェブサイトは依頼主の満足のいく仕上がりになった。

 その後、彼に思いがけない二つのオファーがあった。一つは、外国専門家チームがベトナムで真珠の養殖に取り組むプロジェクトがあるので、そのパートナーになってくれないかという打診。もう一つは、勤め先の管理職にならないかという打診だった。いずれも嬉しい知らせであり、どちらにするか色々考えた末、新しいことにチャレンジしようと、真珠養殖の道を選ぶ。彼はその後6年間に亘って、故郷から離れた島で研究生活をすることになった。

 だが、2007年に始まった世界金融危機により、外国専門家たちは次々とプロジェクトを中断して帰国してしまったため、全責任が彼の肩に重くのしかかった。疲れ果ててすべて投げ出したくなったこともあったが、6年かけて取り組んできたこの仕事をどうにかしてやり続けるため、彼は賭けにでる。全財産を売り払い、さらに借金をして、中断しかけたプロジェクトを継続したのだ。また、世界中の真珠養殖地を訪ね歩き、海外の専門家から知識を得た。土壌、水、真珠貝の種類、移植や交配などの養殖方法を研究し、故郷の海に最も相応しいのは何かを探り続けた。

ホアンザー・パール

「ホアンザー・パール」
ホー・タイン・トゥアン氏


 幾つもの困難を乗り越え、彼はようやくコンダオ島での養殖に成功し、色彩の美しいシロチョウガイ真珠を世に出すことができた。また彼は、通常一つの国の海域では1、2種類の真珠しか養殖できないが、およそ3000キロにも及ぶ海岸線を持つベトナムでは、幾つもの異なる種類の真珠を養殖できることを発見した。

 そして、ベトナム真珠に活路を開き、ベトナムでの生産量の少なさと、海外に輸出されるベトナム真珠の質の悪さを改善しようと、自ら真珠を生産し市場に出す決心をする。ホーチミン市最大の真珠加工工場へ投資し、数百人の職人を集め、特にベトナムの女性たちに本物の真珠の輝きを体験してもらおうと、適正な価格で販売した。「高級品」とみなされる真珠こそ出所を明確にして適正な価格でなければならず、デザインもじっくり検討できるようにすべきだと考え、全ての商品の情報とデザインをウェブサイトに公開している。

 さらにトゥアン氏はここ2年間かけて、新しい研究に取り組み、成果が出ているという。真珠の表面に模様を入れる新技術だ。この独創的な真珠を世界各国に売り込み、ベトナム文化の豊かさを伝えたいと彼は言う。世界への道はまだ開けたばかりだ。



日刊ベトナムニュース より
http://www.viet-jo.com/news/special/130321024547.html





立命館守山高校で特別課外授業実施

土曜日, 3月 16th, 2013


日本が誇る真珠の養殖技術とアコヤ貝の不思議 立命館守山高校で特別課外授業実施

 3月8日(金)、立命館守山高等学校理科クラブの生徒らが、生きた真珠貝の解剖と真珠の取り出しに挑戦した。
 三重大学社会連携センター、志摩市内の養殖企業の協力を得て実現したこの日の特別課外授業「真珠の養殖技術と生命の不思議」には、理科クラブの生徒ら11人が参加。松井純氏(三重大学社会連携研究センター特任教授)による真珠の歴史、アコヤ貝の養殖方法と真珠の作成方法などについての講義によって、真珠養殖の難しさや、真珠の養殖技術のメカニズムについて学んだ後、実際に真珠の養殖に使用される生きたアコヤ貝の解剖を行った。

松井純 三重大学社会連携研究センター特任教授

松井純 三重大学社会連携研究センター特任教授


 はじめに、真珠養殖技術の研究も行う藤村卓也氏(若狭大月真珠養殖株式会社)が、真珠形成において重要な役割を果たす外套膜や、心臓、口などの部位を示しながらアコヤ貝の生態について説明。生徒たちは、はじめは恐る恐る貝の解剖を行っていたが、真珠の取り出しに成功するとあちこちから歓声があがった。取り出した真珠には色や形などさまざまな状態のものがあり、なかには、真珠が出てこない貝もあるなど、養殖の難しさや生命の不思議を実際に体験する時間となった。
若狭大月真珠株式会社  藤村卓也氏

若狭大月真珠株式会社 
藤村卓也氏


立命館守山高等学校理科クラブの生徒

立命館守山高等学校理科クラブの生徒




立命館大学
http://www.ritsumei.jp/pickup/detail_j/topics/11614/date/3/year/2013




アコヤガイ真珠養殖技術を科学的に証明

火曜日, 3月 12th, 2013

「外套膜組織片を移植し、真珠核の周りに真珠袋を形成させ、これに真珠を作らせる」という手法は、100年以上前に日本で開発された真珠の養殖技術であるが、実際に供与貝の外套膜組織片由来の細胞が、移植先の母貝の体内に存在し続け、どのように真珠形成に関与しているかは不明のままであった。

アコヤガイの貝殻と真珠および貝殻を形成する外套膜

アコヤガイの貝殻と真珠および貝殻を形成する外套膜

(アコヤガイの貝殻と真珠および貝殻を形成する外套膜)拡大図

真珠養殖の方法

真珠養殖の方法

(あこや真珠養殖作業の流れ)拡大図

水産総合研究センター(水研センター)と麻布大学、三重県水産研究所の研究チームは、これまでの研究において、アコヤガイのDNAを調べ、真珠層形成に関与するN16遺伝子およびN19 遺伝子が、アコヤガイの個体間で塩基配列が異なることを明らかにしていた。

今回の調査では、供与貝の外套膜、真珠袋、母貝の外套膜で働いているこれら2つの遺伝子の塩基配列を決定し、PCR-RFLP法で塩基配列の違いを解析して比較を行った。
今回の研究の概要

今回の研究の概要

(今回の研究の概要)拡大図

この結果、供与貝と挿核12カ月後にサンプリングした母貝との比較、供与貝と挿核18カ月後にサンプリングした母貝との比較のいずれにおいても、塩基配列にもとづいて分けられた遺伝子型や、PCR-RFLP法で得られた各遺伝子型のバンドは、真珠袋と供与貝の外套膜が同じで、母貝の外套膜が異なっていることが示され、このことから移植してから18カ月目までの真珠袋では、供与貝と同じ塩基配列であるN16遺伝子とN19遺伝子が働いていることが確認されたという。
供与貝外套膜と真珠袋および母貝外套膜におけるN16とN19遺伝子の遺伝子型

供与貝外套膜と真珠袋および母貝外套膜におけるN16とN19遺伝子の遺伝子型

N16とN19遺伝子の遺伝子型(拡大図)

研究チームでは、この結果について、真珠袋で供与貝の外套膜組織片由来の細胞が存在し続け、真珠形成に関与していることを示すものとするほか、真珠形成に関与する遺伝子の塩基配列の違いは、真珠を形成する能力にも影響を及ぼす可能性があると説明している。

また、真珠層を形成するのは供与貝由来の真珠袋であることから、母貝は栄養や酸素、真珠層の材料となる物質などを真珠袋の細胞に与え、真珠袋の細胞から出た不要な老廃物などは捨て去るというような、真珠袋の細胞が生き続けて真珠層を形成できる環境を提供する、という役割を担うと考えられるとしている。
PCR-RFLP法で得られた供与貝特有のバンドと母貝特有のバンド

PCR-RFLP法で得られた供与貝特有のバンドと母貝特有のバンド

RFLP法で得られた供与貝特有のバンドと母貝特有のバンド(拡大図)

なお研究チームでは、今回の結果から真珠形成に関与する遺伝子を利用して、高品質真珠を効率よく生産するアコヤガイの開発につながると期待を示すほか、今後、真珠養殖におけるアコヤガイの供与貝と母貝それぞれの役割を明らかにすることで、アコヤガイの飼育管理の改善にもつながることが考えらえるとコメントしている。

今回の研究は、水研センター 増養殖研究所の正岡哲治氏、麻布大学環境保健学部の佐俣哲朗氏、同 野川ちひろし、同 馬場博子氏、麻布大学環境保健学部の小瀧朋弘氏、同 中川葵氏、同 佐藤瑞紀氏、三重県水産研究所の青木秀夫氏、水研センター中央水産研究所の藤原篤志氏、水産総合研究センター研究推進部の小林敬典氏らによるもの。

詳細は2013年3月25日付の「Aquaculture」に掲載される予定。


マイナビニュース 2013年3月11日 16時10分


独立行政法人 水産総合研究センター
独立行政法人 水産総合研究センター 中央水産研究所
  http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr24/250311/index.html
麻布大学環境保健学部
三重県水産研究所






玄界灘で世界初の外海養殖

木曜日, 3月 7th, 2013

宝飾品大手のミキモトが6日、玄界灘の離島・相島(福岡県新宮町)で養殖したアコヤガイの真珠ネックスレスセットを発売する。真珠養殖は波の穏やかな内湾で行うのが常識で、外海での商業ベースの養殖は世界でも初めて。内湾の養殖場が赤潮や感染症の被害に遭い、外国産真珠に押される中、同社は玄界灘産の「奇跡の真珠」で国産真珠の高品質をアピールし、巻き返しを図る。(田中一世)

 養殖真珠の国内の主な産地は愛媛・宇和海や三重・英虞(あご)湾、長崎・大村湾といった、潮流が穏やかでプランクトンが豊富な内湾だ。これに対し外海は、母貝の栄養源であるプランクトンが波に流されてしまうため、養殖地に適さないというのが定説だった。

 ところが平成12年、福岡県水産海洋技術センターが、7キロ沖の相島周辺の海で、母貝となる天然アコヤガイの生息を確認した。県、九州大、ミキモトの3者が共同研究を進めるうちに、相島沿岸は特殊な海洋環境であることが判明した。

 相島がある玄界灘は、南西から北東に向かって対馬海流が通っている。この対馬海流が博多湾に流れ込み、湾内の豊富なプランクトンを連れて相島周辺に流れていく。これがアコヤガイが生息できる理由だ。

 赤潮被害や感染症の被害に遭いにくい外海にありながら、内湾のメリットをもつ相島周辺にミキモトは着目。実験を繰り返し平成19年から本格的な養殖を開始した。

 初収穫の20年1月は8千個だったが、順調に生産量を増やし、今年1月は17万個に。これまで6年間の生産量は計約50万個に達している。業界団体の日本真珠振興会は「国内でも海外でも、外海での真珠養殖の事例は聞いたことがない」という。

 ミキモトが相島に注力するのは、内湾での養殖が危機的状況にあるからだ。

 平成8年ごろから、英虞湾など国内の主産地で感染症が流行し、母貝の大量死が続いている。このため養殖業者は感染リスクを避けようと長期養殖をやめるようになった。現在国内で養殖される真珠の9割以上が、核入れから浜揚げまで6~8カ月程度の短期養殖だ。

 養殖期間が短くなるにつれ、国産真珠は直径8ミリ以上の大玉が少なくなり、海外産の輸入品に押されるようになった。

 これに対し、外海の相島では1年半以上かけた「越年物」の養殖が可能。その分、真珠層が厚くなり、大玉になりやすい。実際、相島真珠は「ほとんどが大玉」(ミキモト)という。

 ミキモトは現地に子会社「ミキモト博多真珠養殖」を設立。収穫した真珠から、一定基準を超える品質の真珠をえりすぐり6日、高級ネックレスとイヤリングのセット(3サイズで約68万2500円~199万5千円)を発売する。取り扱い店舗は当面、福岡県内の5つの百貨店(岩田屋本店、同久留米店、博多阪急、井筒屋小倉店、同黒崎店)となるが、生産量が増えれば、県外での発売を検討する。

 ミキモトの広報担当者は「最初は『こんな外海では無理だろう』といわれていたが、定説を覆した。日本の真珠の品質の高さを、相島から発信していきたい。大きな挑戦です」と語る。

 また、福岡県も地域振興につながるとして、PRに力を入れる。県水産振興課は「初の福岡県産、しかも外海産の『奇跡の真珠』です。新たな特産品になるし、イメージアップにもつながる明るい話題」という。

 小川洋知事は1月23日、表敬訪問した吉田均・ミキモト社長に「日本の10大発明の1つが真珠養殖。わが県の相島産真珠を使った商品が世の中に出ていくことは大変うれしい。1人でも多くの皆さんに愛されることを願っている」と述べた。
産経新聞 3月3日(日)18時14分配信

御木本 福岡相島での真珠